一角獣が飛んだ夜 5 ーある物語ー

2011/10/20 19:05

その夜

女は 夢を見た。


ひとりで見知らぬ場所に立っていた。
一角獣の姿も 戦士の姿も無かった。


目の前に 用水路が流れている。
人々の生活の為に欠かせないものであるようだった。
そして その場所は なぜか 
女にはひどく懐かしく感じられた。


この場所は 戦士の故郷なのかもしれないと
女は 思った。

そういえば すぐその角から
銀色の髪、透き通るような瞳を持つ戦士の母親が
現れそう ……

続きを見る

一角獣が飛んだ夜 1 ーある物語ー

2011/10/15 21:20
その頃
世界は まだまだ狭く
絶えず 戦乱に明け暮れていた。

ある日のこと
一人の戦士が 敵陣からやっとの想いで逃れ
自国へと向かう途中
森に さまよいこんでいた。

行けども行けども
森は生き物のように 広がり
戦士を包み込んだ。


ー夕暮れまでに ここを 通り過ぎなくては・・・


戦士は 若く 利発で 健康だったが
このときばかりは
今にも倒れそうなほど 消耗していた。

彼は 胸元の銀の ……

続きを見る

一角獣が飛んだ夜 2 ーある物語ー

2011/10/16 15:25
小鳥のさえずりと
顔の上に降り注ぐ 朝の光の中
戦士は眼を覚ました。

夢幻ではなかった。

命があっただけでも 良しとせねばならなかった。

ゆっくりと起き上がると
戦士は あたりを探索し始めた。

昨夜 女のいったように
森の果てには 見渡す限りの砂漠が広がっている。

ー前は砂漠、後ろは敵の領地か・・・

出立をあきらめるが早いか
足首に隠し持った小刀を取り出すと
戦士は あっという間に一夜の ……

続きを見る

一角獣が飛んだ夜 3 ーある物語ー

2011/10/17 22:00

ー俺が 国境守備隊に飛び込んだのは
 たったひとつの恋を失ったからなんだ・・

男は、照れくさそうに切り出した。


ーずっと 幼なじみの娘を愛していて
 いつか 所帯を持つつもりでいたんだが。

 年頃になった頃
 娘は 領主のせがれに見初められて嫁いでいった。

ーまあ、やけくそになっていたんだろうな。
 母は何も言わないで 送り出してくれたよ。


男は、そこで 一呼吸置くように
小枝を 火 ……

続きを見る

一角獣が飛んだ夜 4 ーある物語ー

2011/10/18 21:20

女は つぶやくように語った。 

ー母は 早くに亡くなってしまったけど
 祖母が よく 昔話を聞かせてくれた。
 見も知らぬ国のおとぎ話や 古い寓話を・・・


まだ 寒い季節ではなかったが
時折 夜気を含んだ風が吹き抜け 炎を大きく乱した。

その度に
男の前髪の巻き毛が風に揺れて
眉間に落ちかかる。

それがおかしくて 女はくすっと笑った。

男が きょとんとした顔で女を見たので
無意識に 女 ……

続きを見る

▲ Page Top