もちろん夏の話なのだが、僕は海へ出かけるときは、夜中に家を発つ。
たとえば伊豆の果て、白浜などに行く場合、高速を使えば90分程で御殿場ICに着いてしまう。
しかしその後、長い時間かけて山道を走らせるのが嫌だったし、それなら海岸線を長い時間かけて走らせた方が良かったのだ。
それに下を使えばSAじゃ味わえない、夜中に開いているラーメン屋など、寄り道しながらゆっくりも行ける。
そして、目的地へ着く頃には空も白けて来て、寝ている同乗者を起こすのが僕の役目であった。
カーステからは、この日の為に編集した、自作のカセットテープから曲が低く静かに流れていた。
曲はアスワドやインナーサークルなどのレゲェ。
もう僕は、朝まで待ちきれない気持ちがこみ上げてきた。
「早く太陽よ昇れ!」
あの頃、これから始まるワクワク感を、抑えきれずにいられない僕がいた。
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