コロナ前だったと思うから、5年くらい前だったかな…?
ある日の昼間、近所を歩いていた時、80代半ばくらいの女性が道に咲いている花を、優しい笑顔で嬉しそうに摘み取っていたんだよね。
今じゃ見かけない光景だが、この女性の年代では当たり前の行為だったと思う。
なぜなら昔の日本映画で、こういうシーンをよく見かけるし、僕が小学生くらいの時までは、同年代の女の子が、道に咲いている花を摘み取っている光景をよく見かけたからね。
嬉しそうに花を摘みとっているその女性を見て、僕は考えた。
きっと、先に逝ってしまったご主人の祭壇に飾る花を摘み取っているんだろうな…と。
その幸せそうな笑顔を見た僕は、(いいなぁ…、こういう人って…)と、思うのだった。
多分、若い人が見たら、何やってんだ?この人は?
花屋で買えば良いじゃん…、とか思うかもしれない。
でもね。この女性くらいの年代の人たちって自営業の人が多くてね。
今みたいに、年金とか納めなかった人がけっこう多いんだよね。
それは、この女性のせいではなく、ご主人がそういう方針だったりして、あと昔は専業主婦が多かったから、残された女性が現在、お金に苦労している人が多いんだよ。
昔は国の基準も緩くて、現在みたいに年金をきちんと徴収したり、専業主婦にも年金を与えましょうなんて話になるのは、つい何年か前の事なんだよ。
だから、この女性は、たぶん花屋さんでお花が買えないんだよ。
でも、先立たれたご主人に、花を手向けたいという気持ちは持っている。
それで、当の本人には、全然悲壮感とか無いの。
そうだよね。
だって戦後復興で、何もかも失ってイチから人生を始めた人たちなんだから。
この、亡くなった人の為に、お金が無くても花を手向けてあげたいという想い。
誰かの為に何かをするという行為が、人を幸せな気持ちにさせるんだと、僕は本当にそう思う。
スポーツ選手や芸術家も、そうじゃない人たちも、みんな本質はそこなんだと思って生きているんだうな。
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