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TAG:ものがたり

SCINE 1

2012/03/04 10:10


彼女は バス停に立っていた。

見知らぬ街を 歩いていて、
ふと バスの案内板に目を留め
その行き先を 見ていたときだった。

偶然にも
バスが 滑り込んできた。

彼女の真ん前に 開かれた扉。

運転手が まっすぐに彼女を見る。

何だか はなから乗りたかったような
乗らなければいけないような
そんな気持ちになって
ステップに足をかけようとしたとき
目の前で 扉が閉まった。

あまりに時間がかかりすぎたので
乗らないと判断されたようだった。

動き出すバス。

バスそのものが時間であるかのように
彼女には感じられた。


その行き先は
どこだったのだろう。

未来のどこか?

それとも 

遠い 遠い 過去のどこか?


彼女は最近 思うようになった。


時間は 前に向かって進むだけではなくて

確かに 
後ろにも向かって続いているということを。

どんなに 遠く遥かな記憶でさえも
忘れていなければ
想い出にはならないことを。

それは 傷といってもいいかもしれないけど
かけがえのないもの・・・


だから

今は・・・・











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