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あるものがたり ーまかふしぎ星 1ー

2012/01/06 09:50


それはそれは 星の美しい夜のこと。

一通の招待状が 舞い込んだ。


ー今晩、ご一緒に 天体観測などいかがですか?
 場所は、町外れの 「星の集う丘公園」です。


私は 買ったばかりのピンクの手袋をつけていこうと思った。

ふと 時計を見ると 

日付変更線の谷間で止まっていたらしく
観測会は とっくに 終わっていた。


ほんとは

その夜遅く 「星の集う丘公園」に 行ってみた。

公園には もう誰もいなかった。


ーこの天球を埋め尽くす星星に
 ひとつひとつ 名前をつけるなんて
 人間の歴史もまた 驚異だな・・・

天球の中に吸い込まれていきそうな錯覚さえ覚えながら
私は 思った。


こうして見上げている間にも 
いくつもの星が流れては消え
生まれて出ている。

そう、この瞬間に生まれた星なら
密かに 名前をつけることができるだろう。

わくわくしながら 新しい星を探すと

もう白々と明けてきた南の空に
緑に輝く星を見つけた。

ーまるで エメラルドのような輝きだけど
 それじゃ ありきたりで つまらない。

 緑の花もなかなか無いし・・

 いっそのこと おいしそうな 名前とか。

ーデ・メロン星というのはどうだろう?


しばらくしてまた デ・メロン星に逢いにいってみた。

すると・・・

確か 緑の星があった位置には
濃い黄色の星が輝いているではないか。

形も大きさも光の強さも同じ。

一週間のうちに 色を変えたとしか思えない。


ー黄色いメロンだってあるじゃない。
 やっぱり デ・メロン星がいい。

それから 私は 南の空を見るのをやめた。















 





 






 


 

 




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