明日は 七夕ですね。
旧暦だと 来月になるのかな。
今
10年以上前に 書き綴っていた小説を
まとめているところです。
ちょうど 七夕を題材にした部分があったので
抜粋してみます。良かったら読んでください。
Salt Lake Cafe 3 ー 彷徨う心 ・後編 ー七夕の夜の恋人たちへ捧ぐー
もの思いから 醒めて ラジオのバッテリーの具合を確かめる。
一日 2回の newsを聴くためだ。
今度は 運良く 周波数もあったらしく
聞き慣れたアナウンスが流れてきた。
ーきょうは 七夕です・・・
願い事を書いた短冊を 笹の葉に結びつけて
みんな 天の川を見上げていることでしょう。
さて 気になる今夜の天気ですが・・・
・・・・・・・
ザザザザ という雑音の後
とぎれとぎれに 聴こえてきたのは
シャンソンのような掛け合いの歌・・・
男が歌う。
ーなんて移ろいやすい心・・
恋人よ
僕のおどけた仕草に
君は さっきまで 笑っていたのに
Cafeで偶然会った 女友達と軽口を交わした ただそれだけで
君は
横目で 僕を睨みつける
ー愛は 彷徨うものよ、
女が返す。
ー愛を手にした瞬間から
人は誰でも 小心な夜行動物に変わってしまうものなの
相手のささいな言葉に変心を嗅ぎ取り
ちいさな刺で こころに血を流す・・
僕は言った。
ー恋人よ
君のその左胸に手をあててみて
脈打ってる鼓動が聴こえるだろう?
そこに いつも 僕はいる。
君のその胸の上に 小人の僕がいる。
そうそう
君だって いつかの日。
並んで座ったカウンターの窓越しに
誰かを探すように 落ち着かなかったことがあっただろう?
女は歌う。
ーよく 覚えていないわ
たぶん おどけた仕草の天使が
窓の外を横切っていったんでしょう
デュエット:まことに 愛とは 育みがたいもの
遠くて彷徨い 近くて疑う・・・
フランスは いつも ロマンスを奏でている・・・
さて アジアの辺境の 伝説の恋人たちのものがたり。
ふたりの364日の想いは 1日で昇華し
ふたりの1日は 365日の幻想に育まれる。
伝説に込められた 人々の祈りたち。
月も星も見えない夜にも
厚い雲の向こうへ広がる銀河へ向かって
昇ってゆけ・・・・
どんな天候の時にでも こっそりと橋をかけて
二人を会わせてくれるという
こころ優しい カササギたちにもまた
感謝と安らぎを。
2011.1.2 作成 2025.7.4 改訂
©️2025saltlakecafeyunimizuno
◆Brian Crain - Wind
*画像素材サイトより冒頭の写真 お借りしました。