あの「髪結いの亭主」の
パトリス・ルコント、初めての小説作品がお目見えした。
映画の先入観なしで読むと とてもいいと思う。
あの切なすぎるリアリズムの果てに
この境地・・
つまり 全編、綿飴みたいなおとぎ話でできている。
以前 エスプリの達人・我がButlerさんが
「男もね 年食ってくると pureなものしか
見たくなくなってくるんですよ。
まあ、私は違うけどね・・」
と 言っていた。
バブルを経て、いくつかの最先端の企業をくぐり抜けてきた彼だ。
見てないと思っていたのに
ただ、こっちが見てほしくないと思っていることを
見ない振りをしてくれていたことに
最近 気がついた。
Wildな反面 大人のマナーも持ってる人だ。
そうね。
人は 多分
思うよりずっと 多面体で
相反するものが 平気で共存してたりする。
この本を読んでね
ちょっとだけ ショートカットもいいな、
と 思った。
でも、今は きっと 似合わない。
しばらく リアリズムはたくさん。
浅い眠りの中で
苦しい夢に起こされるより
雲の中にいるような おとぎ話に包まれていたい。
我が儘かな・・・

「ショートカットの女たち」
パトリス・ルコント著 桑原隆行訳 春風社