BLOG

 

「良い歌い手 > うまい歌い手」

2024/03/06 11:00

 先日、本当に久しぶりにカラオケに行って来ました。末娘がどうしても行きたいというので、もう夜中なのに家族で行ったのです。
 カラオケ…、2~3年ぶりくらいだったのかな…。もっとかな…。

 カラオケってすごい悪い言い方ですけれど、素人の表現力も説得力も個性もないモノマネだったり、ただ自己満足的な発散に過ぎなかったりして、歌っている本人の欲求不満の発散効果以外は意義もなく、最悪は聴くに堪えないためにこちらの欲求不満を呼んでしまうというか、ストレスを感じて楽しく感じる事がない事が多いのですが…。
 たまに「美しい歌声だなぁ」とか「センスのいい歌い方だなぁ」とか感じることもあるので、知り合いに限られたカラオケよりも、他人も聴いているスナック等のカラオケの方が好きではあります。一応は皆さん、「(他人様に)聴いてください」というスタンスでキチッと歌おう(または面白いショーを行おう)としているのでそれなりに真剣さが伝わり、聴いていて気持ちがいいとでも言いましょうか…。

 そんな感覚なので、どうもカラオケ自体はあまり好きではなくて行かない事の多い私ではあります。

 けど、先日は久々に自分の持ち歌ではない曲を美妃が歌うのを聴いて、「めちゃくちゃ成長したなぁ。ほんとうに良くなった。」と感心してしまいました。
 バンドの曲だと手を抜いて歌っている…というわけではなく、もう15年も聴いているので持ち曲の範囲での細かな変化だけにここ10年くらいの上達に気付かなかった…という事かなと思います。

 どこが成長…と言えば「歌詞に対する個性的な表現力 (自身の世界観)」です。
 ただ歌詞を口から放っているだけではない、自分の人格イメージを構成し、それを中心に自分の心の中でかみ砕いた解釈と、自分の素直な(美妃の場合は「やや奥ゆかしくもストレートな昭和の少女的な(本人は平成生まれではありますが…)」)表現、けして強い意思ではないけれど厳かに表現して伝えようとしている「うた」になっていました。

 思えば最初に歌い始めた中学生の頃は、ほとんど歌声は抑揚のない「クレヨンしんちゃん声」、リズムは外すのが当たり前、音程も上がりきらずで下がりきらず(笑)、とても歌う事が向いていると思える子ではありませんでした。
 そんな自分の娘にどうして歌わせようとしたか…ですが、歌が全然ダメだからこそ、そんな普通以下とも思える子の成長を皆さんに見ていただくバンド活動としよう…と思ったわけでした。
 しかし、まったくいくらやっても成長しない…とは全然思っていませんでした。
 なぜそう思えたか…ですが、自主制作ライブ盤CDのレコーディングの際に、イントロに寸劇の喋りを我が子3人にやらせたのですが、当時幼稚園児だった美妃の演技力は抜群だったのです。「おまえは~、その歳でちゃんと演技できるのか!」と個人的にはビックリしました。
 カッコ良くシャウトするとか、抜群の音程感覚とか、黒人かいなと思うような音圧やリズム感だったりとか、「これこそプロらしい”上手い”ボーカルだ。」という方々がプレイヤーの方には素晴らしいと言われることが多いとは思います。
 テクニカルだったりバケモノ的に凄いことも魅力ではありますが、ぼくは元来もっとミーハーですから、「あぁ、可愛いなぁ」「切ないなぁ」とか感じるイメージの方が魅力的だし、そんな表現を歌詞を使って演技する力も同様、いや、ぼくの場合にはそのテクニックの方が歌い手として優れて感じるくらいなのです。

 美妃は、なんとか音程もとれてリズムも外れずに歌えるようになって来てからは非常に良いペースで表現力を発揮していったと思います。
 ぼくが「良い」と感じる歌い手は、曲という芝居の中で今日も昨日も違う新しい演技をし続ける役者のようなボーカルです。
そういった意味では、美妃はかなり良い歌い手になったなぁと感じたカラオケでした。

 ぼく的にはそのように思い、もしぼくが音楽を続けられなくなっても他の誰かと続けてほしいなぁと近年は強く感じています。
 個人的には「アイドル歌手が曲を覚えるための仮歌録音」とかにも向いているんだけどなぁ~と思っています。または幼児向き曲のボーカルとか…。

この情報をシェア

COMMENT

何らかのエラーがあり登録できませんでした。
入力に不備があります

・・・・・・・・・

ARCHIVE

TAGS