ぼくはこの10年以上、「高音質な小出力のアンプにもエフェクトループを装備してほしい。」と様々な楽器店・楽器メーカーに言い続けてきました。
それは、デジタルドラム等の普及によってバンド演奏の小音量化が可能となり、さらにはデジタル機器等の利用によって小型化が進み、バンド演奏が従来のような「大きなステージで大音量が出せる場」ではなくても出来るようになって来たためです。
当然、小さな音で普通の喫茶店等で演奏するとなれば、大きなPAで音量バランスをとってくれるようなことは不可能なわけで、最小ならば「マイク無しの生声にあわせて、バッキングからギターソロまでのボリュームをコントロールしなくてはならない」という必要は絶対に生じて来ます。
横に3人並ぶこともできない小さなお店のスペースに100W級のギターアンプに2段積みのベースアンプ、でかいPAなど、入るスペースなどあるはずもありませんし、大出力のアンプで蚊の鳴くような小さな音を出力させた時に「迫力ある良い音」などするはずもありません。
そんな環境下では10W未満のギターアンプを使って箱鳴りさせた方が良い感じでライブできると思います。
しかし、マルチエフェクター等を使用しないと、小型のアンプにはリバーブすら付いていないものが殆どですし、歪ませたままでバッキングとして最適なボリュームまで落とすためにはボリュームペダル付のものがどうしても必要です。
現代では「小音量・小型でも優れた歪み音色を奏でるギターアンプ」が沢山発売されています。
本当は「エフェクターで作った歪み」ではなく、そういった「アンプ本体の音色」を活かしつつ、ボリュームコントロールや空間系エフェクトを足しながら使いたいと、小型・小音量・高音質アンプを持っている人の多くは感じられているのではないでしょうか。。。
ぼくは様々なメーカーに電話や購入品のアンケート等で、「ボリュームペダルが挿せるよう、小型・低出力ギターアンプにもエフェクトループを…」と言い続けて来ましたが、FenderもYamahaもRolandもBlackstarも「小型アンプは自宅練習用なので、エフェクトループの機能ないし演奏中のフットボリュームコントロールの必要は無い。」というような回答がほとんどでした。
せっかくアンプだけで良い音がするアンプなのに、エフェクターでアンプの音を台無しにしないとバランスをとるためのボリュームコントロールが出来ない・・・練習用のサイズだからそれで当たり前、小さなアンプでライブをしようと思うことが間違っていて、大きなステージでライブがやれるだけ集客できるバンドだけがライブをやるべきで、そういう人向けにしか楽器は作らない・・・と言われているようで非常にいつも頭に来ていました。
ボーカルや他の演奏とバランスをとることも、ソロとバッキングでの音量差をつくることも「練習」だと思うのですが、「練習用アンプで練習は出来なくて良い」とメーカーは考えておられるようです。
そのようにミュージシャンの多様な出演場所を考慮した楽器づくりをする気がないメーカーたちに希望をやや失っていましたが、この1ケ月ほど前に「Orangeから小型アンプヘッドにエフェクトループの付いた"Micro Dark"というアンプが発売される」という情報を知り、喜んでいました。
ところが、それに先行してもっと小型でもっと低出力(5W)で高音質なアンプにエフェクトループを搭載したギターアンプが発売されていたことを知ってしまったのです。
ぼくはハッキリ言って「使用可能なミニチュア品」というものが大好きです。
しかし、その事以上に、「ぼくの望みを叶えてくれた世界最初の商品」がOrange Micro DarkではなくてHOTONE NANO LEGACYシリーズであったならば、それを無視するようなことはけして出来ません。
いや、音さえ気に入ればどう考えても敬意をはらって購入するべきだと思いました。
そこで、KEY横浜店にて試奏!
なんと、サイズ(128W×75D×59.5Hmm、440g)とか、安価とか(14,000円程度)「関係ないぜ~」みたいな、そういったことを感じさせない素晴らしい音です。
さらには多くの中国製のつくりが粗いのに対して、HOTONEのアンプはつくりも奇麗で不安になる感じがありません。「製造国による作りの粗さ」ではなくて「製造メーカーによる差」を感じさせてくれるビシッとした出来です。
それにしてもこのHOTONE NANO LEGACYシリーズのアンプヘッドは異常なほど小さく、通常のコンパクトエフェクターと同程度の大きさしかありません。
そこに「ゲイン・ボリューム・トレブル・ミドル・ベース」のアンプコントロール部、背面には「エフェクトループ・ステレオ対応ラインアウト・4~16Ωまで対応のスピーカーアウト」の端子が並んでいる…という、まさに至れり尽くせりの内容なのです。
なぜこんな小さなアンプを…と不思議に思ってブランドのHOTONE社を調べたところ、中国独自ブランド製にしては高品位なとても小さなエフェクターを製造しているブランドで、社名は"HOTONE AUDIO"のようです。
そうか、ミニチュアが売りなオーディオメーカーのエフェクターブランドだったのか…。
それで「エフェクターサイズの5W高音質アンプヘッド」という売り物を発明したわけですね。。。
さらにはこのアンプ、ぼくの購入したメサブギータイプ以外にも、マーシャルスーパーリードタイプ、VOX AC-30タイプ、フェンダーツインリバーブタイプ、さらにはアンペッグのベースアンプタイプまでラインナップするという強烈にレコーディングを意識したものでした。
ん?
待てよ。。。これって、もしかしたら「サンズアンプの盲点をついた"サンズアンプのアンプ版"」?
更にこのアンプの良いところとして、ラインアウト(ヘッドホン出力兼)からPA等に出力しても、スピーカーアウトからちゃんと音が出力されるので、小さな5W出力といえども、複数の機器に同時出力できる魅力もあります。
さらに。。。「ん?」
「Heart Attack」っていうこのアンプの名前の意味って「心臓発作」っていう意味ですね~。
たぶん、「Mesa Boogie Rectifier のサウンドを基に設計された5W/クラスABのギターアンプヘッドです。極限まで高めたハイゲイン設計が、強烈なメタル/ハードロックサウンドを叩き出します。」との事なので、「心臓が発作するスゲー歪み!」みたいな意味なんでしょうね。。。
しかし、そいつを「比較的に地味なギター弾きの私」「心筋梗塞病気持ちの私」が使うという(笑)、これはネタなのか…(笑)。
けれど、確かに激歪みに歪むアンプではありますが、ぼくのトーン設定のためか、ぼく自身のピッキングが弱めであるところもあってか、ぼくが弾くと他にこのアンプをビデオアップされている方のRectifierっぽい派手な音とは違ってコンボタイプの小さめなMesa Boogieアンプのバーストチャンネルのような音になりました。
しかしまぁ、こんなに小さなアンプとは思えない素晴らしい音を、わずか5Wの音量で出力してくれます。
18VのACアダプタ専用の電源なので「電池でも対応」というわけにはいきませんが、録音からライブまで幅広く使えそうです。
まだいろいろ試してみないとわかりませんが、今のぼくたちのライブの音量で使うには、クリーンな音でも使用するためある程度のパワーが必要なので、スピーカーアウトから出力ではなく、ZTアンプのライン入力へラインアウトから接続して使う方法がベストかなと、現時点では思っています。
2月21日のライブでは使うつもりです。
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