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TAG:ピーターズシャドウ

「ピーターズシャドウ」について

2018/02/27 00:00

 一昨日のブログで、組曲以外に3月4日のライブで演奏する曲のエピソードを書きますとお約束いたしました。
 組曲の6曲以外の演奏曲は、「ピーターズシャドウ」「心のイントロダクション」「Waiting for you」「レクイエム」の4曲なのですが、その中から今日は「ピーターズシャドウ」についてお話しようと思います。

 「ピーターズシャドウ」については「これでもか~」というくらいに暗い曲です(笑)
 ぼくが詞を書くと暗いものか夢見がちなものになる傾向が高く、まさに「ぼくのピーターパン症候群的性質があらわれた表現」かと思います。
 2005年に発表しましたが、録音等はその前の年に行っていた記憶があります。

 「ピーターズシャドウ」とは、あのピーターパンが必死になって追いかけていた自分の影です。

 我々がよく知っているピーターパンのお話は、クリスマスの夜に子どもたちの為に行われる英国でのお芝居「ピーターとウェンディ」の事ですが、このお話は「その後のピーターパン」のお話であり、「あのピーターが成長してやってきた」という続編なのです。

 最初のお話「ピーターパン」は、「おかあさんに捨てられてケンジントン公園の鳥に育てられた弱虫なピーター」で、せっかく仲良しになれたメイミーちゃんもおかあさんの元へと帰ってしまい、ひとりぼっちの寂しいピーターとして終わる悲しいお話でした。

 本の「後書き」を読んでわかったことですが、作者のバリさん、お兄さんが小さい頃亡くなったのですが、バリさんのお母さんはそのお兄さんを溺愛していたため、バリさんはお兄さんの物真似をすることでお母さんを喜ばせ、その時だけは愛を受けられる・・・、そのためかバリさんは成長が遅れていつまでも子どもの体格だったそうです。
 バリさんは、少年時代のお兄さんを演じる影、それとも影が亡くなったお兄さんで、本当の影は影をくくりつけて影の姿を演じているピーターパンのバリさん自身なのか・・・。
 少なくとも最初のお話の「ピーターパン」は、お母さんに捨てられて行き場を失ったバリさん自分自身でしょう。

 影をウェンディに縫い付けてもらうまではベソをかいていたピーターが、影を縫い付けられたらスーパーヒーローのように行動しちゃうのですから・・・、本当の主役は影なのかピーターなのか・・・。

 いえ、影とピーター、何れにしてもバリさんが作っている想像のお兄さんの姿であって、両方ともバリさん自身なのかもしれません。
 お兄さんを演じるのが嫌で逃げたい自分が影。けれども影には実体がなくて影だけでは存在できなくなってしまった・・・。
 本体のピーターは想像だけが生んだ虚像なので影がないと存在すら出来なくなるけれど、影によって生き生きと人生を演じることができる。
 いつしか影という本当の自身と、ピーターという演じる姿はひとつになって、オトナになることが出来ずに、愛してくれるお母さんを捜す旅に出続ける。

 そんな影に焦点をあてた本当のピーターパンの姿を、バリさん自身の悲しみと苦しみをあらわにしたいと思いました。

 ぼく自身がいつまでたってもオトナになれず、自分はピーターパン症候群だなと思える感があるので、余計にピーターパンという人格に興味があるし、「まだ覚めやらぬ宵の一時に本当にある世界」での出来事も魅力的だし、だいいちぼくは幼稚園時代に木馬座のピーターパンを見てティンカーベルを救うために「妖精はいるって信じて」というピーターの呼びかけに大声で「信じる~」と叫んで約束したので、オトナになってもそれを撤回するつもりはないのです。

 しかし、よく考えてみると、影は本当の何の力も能力もない小さな自分とすると、逃げるそいつをロックというでっかい虚像に縫い付けて演じるロックンローラーな自分と考えると、まさにロックなステージは、いや、人生はピーターパンそのものだなぁと感じます。

 そんな気持ちを歌にしたのが「ピーターズシャドウ」でした。

 なんでそんなに暗かったのかなぁ~と今考えてみると、ずーっと女性ボーカルを募集していて応募なく諦めて、仕方なくまた自分で歌いはじめたけれど、歌詞は覚えられない・どんどん高音が歌えなくなって息も続かなくなった・ギターがおろそかになる・・・という感じてガッカリしていた時だったかなぁと思います。

 曲のアレンジとしては、ピーターパンは英国のお話ではありますが、ネバーランドには大航海時代のような雰囲気を感じますので、まだそんな音楽世界が民族チックにわかれていた頃の雰囲気を想像して、その時代には空を飛ぶようなイメージを奏でるのが弓矢から生まれて来た弦楽器の務めだと考え、そんな(どんな?)トルコのサズやイランのセタールのようなイメージでギターを弾いています。

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