さて、毎日、安ギターのレジェンド製シンラインのボディーだけ活かして、その他を全て作り変えて今の自分にとって最高のギターを作るのを"264Guitars"佐藤さんに年末にお願いしているのですが、そのギターがはやくできないかな…と、遠足前の小学生のように心待ちにしている私ですが…、2月6日のランチライブではそのギターの次に軽いであろう"Gibson SG junior"を使います。
気がついてみると、Gibson系ギターで一番好きな音のする、自分にとっては"Gibson系ギターの中で人生最高のギター"となり、たぶん最後の墓場寸前まで持ち続けるうちの数少ない1本に間違いありません。
所持しているGibson SG 4本の中ではテンションがきつくて一番弾きにくいギターではあるのですが…。
買ったのはたしか2013年か2014年だったかと思います。
通販でイケベ楽器から買ったのですが、ナット溝が割れていて1弦と3弦が指板に落ちてしまっている不良品でした。価格は6万円だったように記憶してます。
白いピックを削って粉にし、ナットの亀裂を埋めて素人補修して良しにしちゃいました(笑)。
ルックスだけで買った覚えがあり、大切なギターという音を出す道具でありながら気楽に通販で買ったため、品質はスカスカな酷い材のネック、塗装はラッカーとはいっても波うっている粗い仕上がり、ナットは前述の不良と…、これが今のGibsonの実態なのか…とガッカリするレベルの、いわゆる2~3万円クラスの廉価ギターに近い仕上がりでした(笑)。
黒ということで、チェリーのシースルーカラーのものに比べたら確実に木材の質は劣るはずですし、ちゃんと見ての購入だったのならば、ほぼ買う事のないギターだっただろうと思います…。
juniorは1ピックアップだし、シングルコイルのP-90ピックアップなのでノイズもデカく、なぜそんな実用的とは言えないギターを買ったのか…、「昔のグラムロックを思い出すようなロックンロールなルックス」「黒いギターが欲しかった」以外の理由は全く覚えていません(笑)。
レズリーウエストごっこがしたかったのかもしれません(笑)。
極端な性格なので、ギターシンセとかで録音したりしていて、それとは真逆のシンプルなものに惹かれたのか…、どうしてもGibson系ギターのフロント側ピックアップで良い音を出せない事に嫌気がさして1ピックアップがいいと思ったのか…。
とにかく出来の悪い酷いギターだったこの"SG junior"ですが、出力する音は「これがロックだぜ」と言わんばかりのストレートに、かつ、低域も高域もぶ厚い歪みやすい強烈な音がしました。
ぼくの感覚では、何というか…アメリカンロック的でない英国ロックンロール的な音に感じました。スレイドとか、シルバーヘッドとか、スウィートとか、1970年代はじめの頃にデビットボウイやTレックスの周囲を成していたハロウィンのような衣装着てシンプルなロックンロールをやってたバンドたちの音ですね…。
ぼくは中学時代、そういうバンドのシンプルなロックンロールが大好きだったので、黒いギター…と捜していた際に魅力的なルックス…と感じたのでしょうね…。
たぶん、重量は激軽なマホガニーのボディーとネック材なので、マホガニーというよりはもしかしたら「スカスカのラワン」みたいな酷い木材で作られているかと思います。
店頭での購入だったとすれば、こんな酷いギターは購入しなかったでしょう…。
しかし、このギターには「指板が焼いたメイプル材で出来ている」という、高額なローズウッド材が低価格ギターに使いづらい環境下ならではの変わった特徴を持っており、この音の特徴が、ネック材がボロいが故に強く発揮され、これがぼくにはヒットしてしまいました。
最初の音の立ち上がりはメイプルらしく速くてジューシーにコンプ感ありつつガリッとした歪みが得られ、かつ、ボロいマホガニーはかなり遅れてボヨンと明瞭感の無いブワ~っとした中低域の余韻を出力する(多分にこの効果はブリッジ駒が無くてテールピースの平面全面がブリッジの役目も代用するこの手のjuniorモデルでの特徴も、効果を増大させていると思います。)、そんな粗っぽいけど時間差の厚みがある音に魅力を感じました。
確かにウエストブルース&レイングの頃のねちっこいけどシャープなレズリーウエストっぽい音が出る気がします(笑)。
しかし、出力の高いシングルコイルピックアップP-90が1発っていうのは、かなりなノイズで静かな曲で使いづらいという問題。
さらには、クランチくらいに歪んだままのバッキングは問題ないものの、クリーンな音のバッキングでは、さすがにリアピックアップのみでトーンを活用して調整しようとしてもボキボキと煩い音になってしまうという問題があり、使用できる曲がノリの良いロックンロールに限られたギターとなっていました。
正直、ギターの軽さは魅力ですが、弦のテンションもきつめで、あまり弾きやすいギターではなかったので、このギターをメインに使用するなどとは数年前には思っていませんでした。
ただなんとなく、このギターはダンエレクトロ社のギター同様にシンプル過ぎて弾いていて楽しいという魅力があり、ライブではあまり使う事がなくても、まるでオモチャで遊びたいという欲求のように家ではかなり弾いていました。
しかし、自身の老化で腰や肩がきつくなって来ると、何よりも「軽さ」という性能が求める最大の注目点になって来ます。
なんとか今の使い勝手で使えるように出来ないか…、ついでに自分の弱点であるギブソン系のフロントピックアップの音が上手く扱えない問題の解決も出来ないか…、ついでにノイズ対策も…と考えたのが「フロントにテレキャスターのピックアップを追加して、ノイズ対策はセンターポジションで行う。」という、ギブソンギターにフェンダーピックアップの追加となる御法度改造を264Guitars佐藤さんにお願いして出来上がったギターです。
気に入るかどうかは一か八かだったのですが、思いのほかにセンターポジションの音が良く、ノイズも軽減できたので、このギターをある程度メインで使っていく事にし、オリジナル曲「レクイエム」の歌詞からイメージしてもらって描いて戴いた絵の木製ピックガードを風丸ファクトリーに特注して現在の状態に仕上がりました。
ピックアップ増設についての改造代と木製ピックガードの制作と絵の掘り込み費用で、ギター本体の価格とほぼ同額かかっているわけですが、バカバカしいと思われる方がほとんどかと感じるものの、ぼくにとっては「やっと思いどおりのギターになった」という感覚でした。
依然として弾きやすくはないのですが、もともとのリアはハードめなロックンロールなど激情イケイケサウンド、フロントはほとんど歪まずクールなオトナのふりしまくりなサウンド、センターポジションではSGでもテレキャスターでもないけどもボリュームコントロール一つで多彩なバッキングに対応する君は誰なんだ?のギブソンのフェンダーサウンド?という新ジャンルのサウンドとなり、非常に満足しました。
このギターの特徴を写真にまとめたのが上の写真です。
①ペグをGroverに変更
チューニングの精度を高めるという意味もありましたが、余計なヘッドの共振を抑えてサスティーンの向上を目指し、音の分離感の向上も狙い、ポストの長さから少しでもテンションを緩くしたいという意味もありました。
3つの目的とも、わずかではありますが効果はありでした。
②木製絵画ピックガード
楽器を単に楽器の価値観でいうならば、このギターは2~3万円の価値しかないボロギターでしょう…。
しかし、音楽を奏でる道具は、ギタリストが魔術師ならば魔法の杖か空飛ぶホウキのようなもの…だと思うし、音楽プレイヤーとは視聴者の脳内モルヒネをたくさん分泌させてトランス状態を起こさせようと、いわば魔法をかけようと努力しているわけであって、それならその目的らしい雰囲気のギターがあるべき姿ではないだろうか…と考えて思いついたのがこうしたピックガードによる外観です。
ちなみによーく見ると、右下にぼくの顔している大魔術師マーリンが描かれています(笑)。
③テールピースブリッヂ
とにかく弦高を低くしたいので、限界まで低く設定し、ビビってしまう6弦のみ、金属片を突っ込んでバランスしているといういい加減さです。
④1980年頃のテレキャスター用フロントピックアップ
たぶん、世界で唯一の仕様かと思いますが、ギブソンにフェンダーテレキャスター用のピックアップを追加。
しかも40年経った古いダンカン製ビンテージのものなので、当然磁力も落ちてますでしょうし、高域は出なくなっている事でしょう。
ぼくはギブソン系ギターのフロントピックアップの音がリアピックアップのトーンとの変化が大き過ぎて上手く使えなかったため、それならブーブー言わない音にするため、一番フロントの音として気に入っているフェンダーテレキャスターのピックアップを移植してしまおうと考えました。
当初は、リアとの音量差は激しいためにリアとのミックストーンには期待していませんでしたが、これがミックストーンの音がノイズレスでバッキングにて使いやすいトーンとなって良い意味で期待を裏切るオールラウンドギターとなりました。
ピックアップを追加したため、ピックアップセレクターを追加しています。
⑤トラスロッドカバー
もう50年近く前になりますが、生まれて初めて買ったエレキがグレコEG-420でした。
その頃は、愛用者カードへ記入して神田商会に送ると、自分の名前を掘ってくれたトラスロッドカバーが記念に送られて来ました。
その古いものをこのSG juniorに装着しています。
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