昨日のブログで、組曲以外に3月4日のライブで演奏する曲のエピソードを書きますとお約束いたしました。
組曲の6曲以外の演奏曲は、「ピーターズシャドウ」「心のイントロダクション」「Waiting for you」「レクイエム」の4曲なのですが、その中から今日は「Waiting for you」についてお話しようと思います。
「Waiting for you」は美妃が歌いはじめた次の年に入った頃だったでしょうか・・・たしか2006年に録音したと記憶しています。(追記・・・2005年でした)
当時はバンド形態の”siloam”というバンド名で、ドラマーだった西野が作詞を担当しており、バンドのコンセプト等をぼくと二人で検討しながらバンドを進めていました。
この時はこんなに長い間、娘と一緒に音楽活動を続けて行けるとは夢にも思っていませんでした。
丁度、高校のクラブ活動くらいの感覚で、就職したら終わりかな・・・、その後はまたボーカリストを捜して・・・等と思っていたのです。
けれど、バンドメンバーが1人抜け、二人抜けで、実際には村上が一旦バンドを抜けた時には美妃とぼくの2人だけになってしまい、村上とともに3人でこのユニットを再興したときには、もうバンドは諦めて現存の3人だけでオケを使って活動しようという方向になりました。
なので、当初の「バンド主体>企画としてのボーカリスト」というスタイルではなく、「3人の個性をひとつにまとめたユニット」となり、メンバーの変更はできない形態になりました。
ちょっと脱線しましたが、この「Waiting for you」の曲自体の構想としては、美妃の加入する前年にちょっとだけ加入していた女性ボーカルの方がいたのですが、その彼女に歌わせようと考えて作っていた曲でした。
歌詞については当時ドラマーの西野に頼んだのですが、題材としては中国で激しい日本バッシングがあった年でしたので、古代に尊敬された大中国・・・がっかりさせる国にならないでほしいなという想いと大国らしく小国を攻撃相手ではなく手を取り合う気持ちになってもらえないものか・・・という単純な思いを歌詞にしてもらいました。
さて、ここで西野とぼくがかなりの時間をかけてディスカッションしたのが「美妃の活かし方」と「バンドの方向性」でした。
まだこの時点では、美妃に歌わせる意義というか必然性をバンドとしてコントロールしておらず、まだ音程もとれずにリズムも外れっぱなし、抑揚もうまくつかない帽歌いな状況(笑)な美妃をどうまともに歌えるようにしていくかだけに意識が集中していました。
「Waiting for you」は、かなりメロディーは変えていきましたが、当初はスティービーニックス丸出しのパクり曲といってもよかったと思います。
さらに一瞬の中サビはジャーニーのパクり。
ただ・・・、サビは「ある思い」を載せて当初考えていたサビをやめ、新たに作り直したパクりのないものにしました。
それは「美妃はどんな歌い手さんが好き?どんなふうに歌いたい?」と聞いたあたりからで、マンガの主題歌くらいしか特に聞いたことのなかった美妃にとって、2003年に作ったCDへのボーカルお手伝い参加のために我が家でレコーディングしてくれた”あるさん”の歌が印象的でインパクトが強かったようで、「あるさんみたいに歌えるようになりたい」と答えました。
ぼくが組曲構成の音楽を作り続けて頭に描いた世界は小さな頃、大きなステージで見た木馬座の世界でした。
藤城清治さんの影絵がそのまま動き出した美しい世界です。
カルメンマキ&オズが世に出て来たときに「なんて照明がきれいなんだろう」と思いました。それは、木馬座の照明を担当する魔法陣の照明スタッフによるものでした。
カルメンマキ&オズは単に女性ボーカルのハードロックとして女の子に憧れられるというイメージもありましたが、ロックと童話を下北沢でブレンドして木馬座を加味したようなサウンドとビジュアルなルックスだったとぼくは思っています。
ほくは、それとは違う見た目の違う音で、ロックと木馬座のイメージを加味したかったのですが、美妃のひとことでちょっと表現をかえていくことを思いつきました。
美妃は平成うまれなのに、よく「昭和の娘っぽい」と言われます。
基本は怠惰な性格なのですが、一生懸命やるときには全力投球する感じがあります。
ところで、前述の”あるさん”の歌の素晴らしかったところは、とにかく元気いっぱいで明るくてチャーミングだったところでしょう。そのある種「昭和的な一生懸命さ」の魅力って、ぼくが感じていたのは「ジブリ映画に出てくる主人公の女の子のイメージ」でした。
そうですね。あるさんと美妃に共通するイメージは、ぼくの目で考えてみると「ジブリ映画に出てくる主人公の女の子のイメージ」だったのです。
そんな感じの元気さを「Waiting for you」のサビとして、当時のあるさんの言い方だと「最初はこらえて我慢して、最後のサビでドッカーンといけばいいですね?」なイメージです。
当時は未熟過ぎる美妃ですが、なんとなく雰囲気はそのイメージになりました。
そして、そのころから「ジブリ系ロック」とか「童話の世界でロックする」とか言いはじめた理由をつくり、美妃のカラーを決定した曲でもあったと思います。
当初予定していたAメロの混沌としたイメージ(メロディー)も、サビにあわせてイメージチェンジしたのは言うまでもないところです。
でも、当初のイメージがスティービーニックスだったので今の我々の演奏曲には珍しく、この曲についてはアメリカ西海岸風の仕上がりになっています。
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