今日はぼくの現在のメインギターの話題です。
とりあえずはビデオを撮ってみましたので、まずはそれを…。
その時代、どうしてこのようなギターが生まれたのか等を考えてみるのは楽しいです。
カスタムショップ・ヒスコレの1963年レスポールSGを購入し、ヒスコレっていうのはタイムマシンだな…などと思いながら、過去を想像していました。
レスポール氏に「なんだ?このクワガタみたいなのは?」と言われ、最終的にはレスポールモデルと認められず、ただのソリッドギター(SG)と名称変更したSG。
なぜ、レスポールスペシャルをダブルカッタウェイにしたTVのスペシャルが、全く形をかえてSGになったのでしょう。
そこが最大に気になる点です。
当時のFenderの隆盛に対し、価格の高いレスポールモデルは販売に不利だったため、Fenderと価格で競え、文句を言われることの多いレスポールの重量の軽量化をしなければならなかったのだと思います。
しかし、Junior〜Specialは低額モデルで本来はプロの使用を意図するモデルではなかったため、Specialを下敷きとするも、もっと高品位であり、Fenderユーザーを取り込む魅力を加味したギターの製造が必要だったのではないかと想像出来ます。
ボディ形状も、従来のレスポールモデルの形状に固執せずに再検討したからこそ、まったくこれまでのレスポールモデルとは違った形状のギターとなったのだと想像できます。
ボディの表裏両面のエッジ部分が斜めに削られるべベルド・エッジ加工が施されたのは、Fenderストラトキャスターのコンター加工されたボディ形状の影響ではないでしょうか。
そして、ボディそのものの形状は、従来のレスポールやTVのサイズからは程遠く、縦横とくびれの位置から考えると、ほとんどFenderテレキャスターに近い形です…。
すなわち、Gibson SGとは、マホガニーボディに対して、Fenderテレキャスターの
ボディ形状をTVのようにダブルカッタウェイとし、ストラトキャスターのコンター加工をボディ全面に施すことによってGibsonらしい形状を維持しつつもストラトキャスターの持ちやすさも加味させ、さらに軽量化を図って薄いボディを作り、レスポールのネックを接合させたもの。。。
言い方を変えれば、「マホガニーで作ったFender Telecasterボディにレスポールのネックを接合し、ストラトキャスターの持ちやすいところを参考にしながら、ギブソンらしいディティールを施したギター」なのではないか…という感覚です。
もっと砕いて言ってしまえば、Gibsonのノウハウに、Fenderギターの良さを加えて作ってみた…ではないかと。。。
べベルド・エッジ加工はストラトのコンター加工のようにギターを持ちやすくしましたが、ボディ外側全域を曲線化することにより、実際はフラットトップなボディに丸みをおびた質感を与え、アーチドトップのギターに近い印象を与え、安っぽさを感じさせずに高品質感をつくることに成功したのではないでしょうか。
ボディをマホガニーのみとしても、薄くしたことにより高域が欠如してしまうことは避けられ、かつ、Fenderのギターよりも軽いギター、そして、メイプルトップとマホガニーバックというような面倒な作業工程をとらずにマホガニー単板のみで作られるSGは、価格的にもFenderギターと戦える価格まで販売価格を下げられた
ということでしょう。
SGより3年ほど前、ほぼ同時期に生まれて来たギターに「ES-335」があります。
ESとは、エレクトリックスパニッシュの略で、335型はソリッドギターであるレスポールモデルとフルアコの中間に位置するギターとして生まれたそうです。
一時の流行り人気で、いつかは終息するだろうと思われたソリッドギターは、それどころか、今までのフルアコを不要なものにする勢いだったのでしょう。
生き残れるギターであり、Gibsonの本来の看板ギターとしてフルアコにソリッドギターの利点を組み入れる必要を感じたからでしょう。
レスポールモデルを名乗れなくなった1964年からのSGの名称はソリッドギターの略。
ESとSG、なんか似たような名前に感じますよね。
レスポールモデルの新型でなくなったSGは、いったいどのモデルに対するソリッドギターだったのでしょうか…。
もちろん、SGはレスポールの新型として生まれた現実は当然ではあります。
しかしならば、なぜレスポールの大きさやカタチのままダブルカッタウェイとしていたレスポールスペシャルの形状のままで新型レスポールを作らなかったのだろうか…という疑問が残ります。
軽量化をする際、ボディを薄くしたらヘッド落ちしたのでボディにそれなりの重さを与えるために平べったく大きくした…とは、考えられません。
なぜなら、SGの多くのモデルでヘッド落ちは発生しており、ボディの長さや厚さで調整するならば、ホーン部分を切り取ってボディのテール部分を長くすれば良いのに、そうはしていないからです。
1963年にはSGとは別に、もっと高級品としてレスポールに代わるモデルFireBirdが発売されました。
ここでSGはレスポールの新型ではなくなり、SGというGibsonギターのソリッドタイ
プのベーシックになったのだと思います。
ES-335からも330・345・355等、様々なギターが発生しますが、やはり基本型は335
ですよね。
335はソリッドギターであるレスポールと、従来のフルアコの中間に位置するモデル…。
実は1958年〜1963年の間で、Gibsonはレスポールモデルというギターから不変の自社のオリジナルギターを生み出そうとES-335を造り上げたのではないだろうか…、と想像してしまったのです。
そしてSGとは、ES-335のソリッド版ギターとして考えられたのではないだろうか…という想像に達してしまったのです。
決め手になったのは、SGはソリッドギターらしくレスポールモデルよりも低域が少なく硬めな音であるのに、まるでセミアコのような中域のボケかたがあるのはなんなのだろう…と感じたからです。
SGのソリッドギターらしさはFenderギターに対する研究を加味し、音づくり等の上では
ES-335をモデルにしていたのではないのか…、そのように直感してしまったのです。
大ハズレかもしれませんが、少なくとも自分が所有してきたギターの上では成り立つ想像です。
Gibsonから見たイメージを想像してみると。。。
1.レスポールモデルの一時的成功。(1950年代前半)
2.レスポールモデル衰退とFenderギターの台頭。(1950年代後半)
3.レスポールモデルのノウハウを活かした新たなモデル開発の必要性。
4.需要が少なくなる箱ギターの変革の必要性→ES-335発売。(1958年)
5.他社研究結果とES-335のブレンドにより新型レスポール誕生。(1961年)
6.メイプル材を使わないためレスポールは新型を認知せず。
7.レスポールのモデルではなくなり、SGという名称に変更。
8.上位モデルFireBirdが、さらにFenderギターに近い仕様・音にて発売。(1963年)
9.レスポールモデルの人気沸騰で、レスポールモデル再販開始。(1968年)
10.FireBirdはレスポールモデル再販により販売修了。(1969年)
11.以後、SGはレスポールモデルの廉価版ギターというイメージに甘んじる事となる。
SGは、3弦の11フレットあたりでデッドポイントがあったり、欠点もあるギターです。
けれども、この圧倒的な軽さや弾きやすさは、他のギターでは得られない魅力です。
ぼくの場合は、健康的な理由で軽い楽器が必須になったため、今迄は高額で買うつもりもなかったヒスコレのSGですが、中古だったこと、全く購入と同時にいじらずに使える完璧に好みのギターだったことから、買ってしまいました。
今後は、このギターを中心に使っていくつもりです。
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