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Gibson FireBird V

2014/05/13 12:05

 実は、アンプを使わないラインでの使用や小音量での使用では、どのギターよりもダントツに"Gibson FireBird V"の音が気に入っていました。

 軽量なSGをメインにした理由は健康上の理由が大きく、この"Gibson FireBird V"はかなり重めなギターであり、かつ、非常に運びにくい形状だったため、2月の心筋梗塞手術後に予後を考えて使用を諦めたギターです。

 ボディーを切って持ちやすく軽量化をしてしまおうかとも迷ったのですが、切ったりせずにそのまま使うべき(ぼくの今後の健康状態を考えた場合、この重さは「使用を諦めるべき」)というご意見をいただいたので、このギターの使用を諦めて軽いSGに移行しました。

 しかしながらとても気に入っており、未練タラタラで、立って皆さんの前で使うのは無理でも、運搬に無理があり自宅から持ち出さないにしても、自宅で録音に使ったり、ビデオ録画で1曲だけ使用するには使える可能性もあるので売却出来ませんでした。

 どうしても撮影の時とか、白いギターが欲しいことが多く、ポラリスホワイトのSGの左利き用は製造されていないし、この白いFireBirdの存在感はぼくにとって非常に大きいものがあります。

 特に気に入っている点は、スルーネック構造の何とも言えないベースのような変なサスティーンのある響き、それにGibsonギターでは最高にトレブリーと思えるミニハムバッカーピックアップの音です。

 ハイポジションの弾きやすさはSG以上で、ギター史上一番弾きやすいと個人的には思っています。
 ハイポジションの弾きやすさは、ボディの形状やスルーネックの形状によるものだけでなく、指板の形状やフレット幅とネック幅の絶妙な関係もあり、不思議なことに手が大きくて指が太い人も、手が小さくて指が細い人も弾きやすい素晴らしさがあると思います。

 アンプによっては、その音質がコニョコニョになり、相性が悪いものもありますが、ぼくは気に入っています。

 ローポジションの遠さは当初違和感がありましたが、慣れるとどのギターよりもしっくりと来て良い感じです。長すぎるヘッドデザインはやたらと周囲のものにあててしまっていつまでたっても慣れませんが(笑)。

 1963年に発売されたFireBirdですが、Fender Storatocasterに対抗すべく作られたモデルだったそうで、販売不振だったレスポールの新型として1961年に生まれたSGより高額なモデルでした。

 実際には販売不振だったエクスプローラーを母体とした改良型だったようで、カーデザイナーのレイ・ディートリッヒがデザインしたサーフロックに向くギターとして世に出たようです。

 ちなみに、クルマのファイヤーバードよりもギターのファイヤーバードの方が早く生まれたのに、カーデザイナーのデザインということでか、逆に思われることが多いですね。

 サーフロック用ということでモズライトやジャズマスターを意識してか、硬い音なのですが、サーフロックの方たちにはまったく相手にされず、ヒューバートサムリン等のブルースギタリストが中心に使うギターとなりました。

 販売成績はパッとしなかったFireBird、独特なスルーネックの構造等に費用も手間もかかるため、後期はノンリバースボディとなって価格を下げほぼSG同様の仕様のギターになっていきました。
 そしてクラプトンのPAF搭載レスポールモデルによるブルースブレイカーズでのドライブトーンが世界中で人気となり1968年にレスポールモデルが復活。入れ違いにFireBirdはそっとその羽ばたきをやめ、製造を終了します。
 しかし10年に1度くらいのペースで記念モデルが再販され、2010年から現在はほぼレギュラーモデルに近く販売され復活?しています。

 FireBird、ぼくの記憶では、やはり1970年代初頭のジョニーウインターの使用が印象的ですね。
 それに1960年代クリーム最後の頃のクラプトン、1970年代初頭ドゥービーのトムジョンストンといったところでしょうか。。。

 ぼくの感じる感覚としては、Gibsonのギターの中で一番Fenderに近いイメージのあるギターだったなと感じています。
 トレブリーだ…というだけでなく、持った感じがそんな感じだったり、ボディの平べったさとかもそう感じさせます。

 思うに、Fender/Gibsonをエレキギターの老舗として考えますが、Fenderは「正確な(プレシジョン)エレキベース発明のブランド」であり、そのエレキベースのノウハウにスティールギターの構造をあわせてエレキギターを考案して来たのだと思います。
 けれど、Gibsonは「たとえ板っ切れにネックを接合させたシンプルなモデルだったとしても、あくまでも従来のギターという楽器の何たるかを追従する」という論理で、ベースよりもギターに中心を置いて考案されて来たのではなかろうか…と思います。

 そんなGibsonの中にあって、一際異端児なFireBirdは、まさにFenderのエレキベースを強く参考にして制作されたモデルなんだろうなぁと感じます。

 変型ギターの中で唯一ヘビーメタルに向かないライトな音のギター(笑)。
 頑丈そうに見えて壊れやすいギター。
 まるでアメ車のように光り物がゴテゴテしたケバい印象で無駄にデカいギター。

 とても魅力的です。

 実は、この白とは別に軽量だった黒いFireBirdも持っていたのですが、白の方が明らかに高音質だったため売却してしまっていました。
 こんなことなら売らずにとっておけばよかった…と思っても後の祭り…。

 けれどそれで軽くて程度の良いSGに出会えたのだから仕方ないですね。

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