もし、ぼくがライブ活動をやめる事になってほとんどの楽器が要らなくなっても、自分のために特注して作ってもらったこのギターたちは所持し続けるだろうと感じています。
一番左のテレキャスター・シンラインタイプについてはまだ制作途中で完成しなければ手放してしまうかもしれませんけれど…。
ライブ活動が続けられる限りはGrecoのテレキャスタータイプの2台が軽量で弾きやすいためメインとして使いますが、ピッキングのタッチによる音色変化や、音の品位を考えると、やはり、Vanzandt Bronsonを中心とした「自分の好みの音色に特注したギター」が最終的には主となって残ると思います。
そんな、ぼくの本当に最終的に持ち続けるであろう3台のギターについて記したいと思います。
写真真ん中がアメリカのピックアップブランドとして有名な”Vanzandt”社が日本のPGM社(moonギターの製造をしている工房)に委託してVanzandt製ピックアップに最適なギターを制作している”Vanzandt”ブランドのギターの中で一番安いDuosonicのコピーモデル”Bronson”を母体とした特注モデルです。
特注ポイントは、ボディー材をアルダーからセンターブックマッチのアッシュ材へ変更、指板材をなるべく硬い材にしてもらい、配線をDuosonicやMustangとは違いTelecasterと同様に変更、マッチングヘッドやボディーカラーやピックガードを好みの色に変更、ボリュームとトーンのPodはAカーブの右利き用と同じ回転方向(左利きとしては逆回転)に変更し、トーンは無くして、マスターボリュームとフロント単独のボリュームに変更して製作してもらっています。特注なのに20万円という価格はまぁ安いかなと感じており、60歳の時に退職金で借金を払って残った金額で購入しました。
また、購入後ですが、リアピックアップはカバーを外してオープンにしました。
薄いラッカー塗装で表面はサラッとしているので、腕に蕁麻疹が出やすい自分にとってこのサラサラ感はとても気持ち良いです。
適度な粗い音色でありながら枯れた美しいトーン、圧倒的な抜けの良い音、ほぼGibson系ギター同様のミディアムスケールによる弾きやすさ、自分にとっては一番持ちやすいと感じているボディー形状、5年前に買ったその時から数十年も一緒に過ごしたような安堵感のある雰囲気…。
このギターは間違いなく、自分の最終的なメインギターだと言い切れます。
左のテレキャスター・シンラインタイプは特注というべきか、単なる改変というべきか…。とにかく、貧乏で金が用意できない自分なりのセミアコとエレアコを一緒にしたギターが欲しいと考えた末の途中経過ギターです。(今のところの費用は、レジェンド製ギター3万円と246ギターズ特注ネック8万、ピックアップ3万くらいなので、14万円くらいでしょうか…。)
ボディーだけですが安物ギターのレジェンド製アフリカのオクメという合板に使われるラワンのような木材で作られたものを使いました。それに無理やりFenderとGibsonの中間のDanelectroスケールの極上ネックを264ギターズに特注し(ナットは真鍮)、1980年代初期のシャーラーの糸巻・真鍮6点のブリッジに変更し、ダンカンのスタックタイプのハンバッキングピックアップ(シングルコイルのような音がしてノイズが出ないピックアップ)に変更したものです。
音はかなり硬い音ですが、セミアコらしい空気感はある音です。
今のところ、右利き用と同じ逆回転のAカーブマスターボリュームのみで、もうひとつのPodはダミーですが、そのうち、ピエゾのピックアップを搭載して、そのプリアンプも搭載し、いつかはエレキとエレアコの2系統で使えるギターにしたいと考えています。
右の小さなギターは、1990年代にフリーマーケットの小さなブースでギターを弾きながら自主制作CDを販売していた頃、野外の狭いスペースで小さくなって弾くのに適したギターが欲しいと思って、GuitarLabに特注した(特注したというよりは安い金額で泣き落としで1997年に作っていただいた(笑))ギター「GuitarLab “elf”」です。泣き落とし価格なので金額はナイショです。
このギターの原型はCarsの左利きギタリスト「エリオットイーストン」がGuitarLab伊藤氏に特注した小さなエレアコ(ツアー時にホテル等で練習するためのギターとして)を基としているため、オリジナルが左利き用という珍しいモデルです。
そのギターにフロントピックアップだけ装着されていたモデルが池袋のヤマハで行われた個人ギタービルダーの展覧会に出展されており、その写真を見て、そのギターのカスタマイズ制作についてお聞きしたのがはじまりでした。
この時もいろいろと演奏している音源を持って行って、伊藤さんからは「シングルコイルピックアップの方が向いているのでは?」と何度も言われたのに「今は野外で小さい音で弾くので、パワーのあるミニハムバッカーがほしい」と無理強いし、かつ、料金も信じられないくらい低い予算で作ってくれるようお願いしたのでした。
その結果、当時、人気若手ギタリストが特注しているギター用の木材をちょっとチョロまかさせていただいて木材代を浮かせることに…(すみません○○ちゃん)。展示モデルはフロントピックアップ1発でしたが、リアにハイパワーなピックアップ、フロントにローパワーなダンカン製ピックアップを装着し(結局、後日、リアも1970年代初期レスポールデラックスのローパワーなピックアップをオープンにしたものに載せ替えましたが…)、コントロールは1ボリュームのみとしました。
色は仏壇などに使われるような渋い金色でマッチングヘッドにしてもらいました。当時は金色が一番好きだったので…。
たかがミニエレキに見えるでしょうが…、はっきり言って、所持するハムバッキングピックアップのギターの中でダントツの一番に素晴らしい音がするギターです。たたポジションが、地面にあぐらかいて座って弾くには良いギターなのですが、立って弾くと左腕の角度に無理がかかって腱鞘炎との勝負になるギターでもあり、フリーマーケット実演CD販売をしていた1997~1999年には人前で使っていたものの、その後は「録音専用ギター」になっています。
購入して直ぐに灼熱の野外で使ったため塗装はクラックだらけになり、まるでオールドギターのような形相ですし、形状の小ささやシンプルな見栄えで「どうせZO3程度のギターだろう」とナメられる事も多いのですが、確実に「テメーのそのデラックスなギターより格段いい音出してやんよ!」とツッぱることが可能なメチャ凄いびっくりミニギターです。
制作者の伊藤さんによると、このギターの音色が優れている理由は、ドイツ製の削り出しカチンコチンなブリッジプレートによるものが大きいとの事ですが、細部をみると、とにかく伊藤さんのお仕事は本当に丁寧で、通常のギターの仕上げが「汚い」と感じるほどきれいでした。(それについては”Vanzandt Bronson”についても同じ印象でした。)
しかし、このギターの所有権はすでに美妃に移管しており、ぼくの死後は美妃のオモチャとなっている予定です。
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