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「魔法の杖となったぼくの"Gibson SG junior"」

2021/07/08 15:00

 Gibson SG juniorは、風丸ファクトリーへ特注の木製絵画ピックガードを装着し、完全カスタマイズ化を終了しました。
 音だけでなく、見た目も好みな世界で一番自分らしいGibsonギターになりましたので、生涯使用のGibson系ギターの中で自分の一番のメインギターになりました。

 実は、フロントにFender Telecasterのピックアップを装置すると決めた時から絵画を彫り込んだ木製のピックガードを装着しようと考えていました。

 なるべくプラスティックっぽさを排除したいという気持ちもありましたが、「まぎれもなくSG juniorである。」というイメージも崩したくないという事もあり、ピックガードの形状はほぼ"Gibson SG junior"のままとし、フロントピックアップを追加して隙間が大きく空いてしまったところを塞ぐ程度の形状変更に留めました。
 また、よく言われてしまう「Gibson SG juniorにFenderのピックアップは不格好で醜い。」というところも、絵画のピックガードであればさほど目立たなくなるはずだ・・・というところもありました。

 木製とはいってもこんなに薄く製材した木をさらに彫るのは不可能なので、風丸ファクリーではアクリルの薄い板に薄い木材を貼って約5mm程度の板を作って、それをピックガードの形状に切り、さらに描いた絵をレーザーで転写して彫り込み、色付けして表面をコートして作ったとのことで、かなり手間がかかっていますね。

 テレキャスターのフロントピックアップ増設一式とこのピックガード制作にかかった費用は、ギター本体の価格が安価なモデルであるため、安めに製作費を請け負ってもらっていてもギター本体価格を超えてしまいましたが、自分としては「自分の使用勝手では世界最高のGibsonギター」と思っているので大満足です。

 今までは音に関係しない改変をギターに加えたことといえば、中学生の頃にシールを貼りまくったとか(笑)、回しやすいノブに取り換えたとかくらいしかありませんでした。

 フロントピックアップの増設については他人様にとって「GibsonギターにFenderギターのピックアップ追加とは・・・、非常にバカげている!」と言われる方も多い不謹慎な改造と思われるものかもしれませんが、ぼくにとっては従来からGibsonギターでコントロールに苦しんでいた太くて甘過ぎるフロントの音の解決策として以前から思っていたFender Telecasterのフロントシングルピックアップの追加でしたので、本当に自分がコントロールしやすい音色を考えたのみの「必然的な改造」でした。

 しかし、絵画のピックガード制作については直接音と関係なく、また、ギターのルックスを第一に考えたわけでもなく、もっとぼく自身の精神的方向性の問題としてイメージしていました。

 1993年以後の自分の音楽の方向性として常に「音楽を音楽の枠にとらわれないで、絵画や本や映画や写真等々の他の芸術作品とのコラボレーションを感じさせるものにしたい。」という気持ちがあります。
 一度やめた音楽、その間の3年間はギターはおろか音楽を聴くことも辞めた自分が、最終的にもう一度ゼロに近い状態から音楽をはじめたいと思った理由は、1枚の油絵を見て「この絵画でイメージした組曲を作りたい。音楽で絵柄が浮かぶようなお話になっている組曲をつくりたい。」という気持ちでした。
 けして音楽に感化されて音楽をやるのではなく、とりあえず音楽からは離れた自分が、音楽以外の作品に感化を受けながら絵筆やペンの代わりにギターを持つ感覚で奏でていくものをそれからの自分の音楽としたのです。

 目指すところは、絵描きや絵本描き、写真家、作家などの方に対してとりあえずは著作権フリーで楽曲を利用いただいて、先方がコラボ作品を作ってくれるようになりたい(こちらが費用を出してこちらの作品として描いてもらうのではなく、あくまで先方の作品づくりにコラボとして私たちの音楽を利用していただく)と考えていますが、なかなかそういった申し出をいただくことはなく、逆にこちらに購入を促すような営業をされる方しか現れませんでした。
 それだけこちらの音楽で制作意欲が沸くとか、コラボしてみたいとか感じていただけることはなく、魅力的には感じてもらえなかったという事なので、その辺は残念です。
 こちらで音楽を制作し、先方の作品も購入し、何らかの配布・販売手段を講じるというのは、財政的に不可能ですし、ぼくの望みとしては「ひとつの音楽作品を、様々な方が思い思いに活用して、まるで違った作品を仕上げていただけたなら、どれだけ幸せで、かつ、興味深い結果になるのだろう・・・。」というところです。
 それが今、音楽をやっている事についてのぼくの夢です。

 たぶん、もう無理でしょう。けれど、そういった気持ちだけは表したいので、使うギターにもそのような感覚を持たせたかったのです。

 震災後のバンド再編してからは、それまでの「夢」を中心に考えていた音楽内容から、とても夢など見られない悲惨な状態を目にし、音楽のテーマを同じ「夢」を目指しつつも「鎮魂」に変化させた2011年12月発表「人形大戦組曲」では鎮魂から希望へと向かいました。
 でも、本当はその組曲の前に前段の鎮魂曲がありました。人形大戦組曲の前段にある曲は、1989年に共産党系反戦集会で使う曲として労働組合で募集していた反戦歌という要望で作ってボツにされた「レクイエム」という曲です。
 ボツにされましたが、反戦歌を作ろうと思っていたらゴスペルになってしまった・・・という曲で、モチーフとしてイメージしたのはあのグループサウンズ「タイガース」の「廃墟の鳩」でした。
 このホームページのSONGのページでダウンロードできるようにしていますが、実はその曲を聴いてもらってそれをイメージに描いてもらっています。
 ぼくの要望としては「絵の主人公は隼の目をした白い鳩」「なんとなく暗い時間帯」「出来ることならばぼくの憧れである大魔術師マーリンをぼくの顔で参加させて(笑)」というお願いで描いてもらいました。

 そして出来上がった絵は、まるで月が沈んでいくようなこれから来る明けの明星の世界(ピーターパンたちが活躍する妖精たちの「ないの国」が存在する時間)直前の時のような景色です。

 ないの国発の魔術師がおおくりする音楽・・・そんな感じがして、ぼくの魔法の杖としてのギターと考えると、とても理想的なものに仕上がったと感じています。

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