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サンズアンプ

2017/03/03 00:00

 サンズアンプ。

 今使っているのは、ぼくが最初に使い始めた25年前のモデルからもう4台目になります。
4台使い切ったのではなく、2台目と3台目は音が気に入らなかったので売却し、実際には1台目を20年使い、その後に4台目を5年使っているという感じです。
 ここ数年はマルチエフェクターや、エフェクター内蔵アンプをライブでは使用して来ましたが、録音の際にはほぼいつもサンズアンプを使っていました。

 サンズアンプは訳すと「アンプ要らず」という意味。
 まだデジタル技術が発達する以前の時代、簡単にギターアンプの代わりにラインレコーディングをするために作られたアナログの元祖ギターアンプシミュレーター(ライン接続でのアンプの代わり)でした。
 なんとなくマーシャルっぽくなったり、なんとなくメサブギーっぽくなったり、フェンダーっぽくなったりと、そっくりではないのですが実践的に似るというのか・・・そんな感じと、更には中域のブーストやマイキングのシュミレーション(スピーカーのエッジにオンマイクの音や、上方からコンデンサーマイクで拾った音の選択)などが出来るようになっています。
 マーシャルとかフェンダーの音とか言っても、単体でギターを弾いてもさほど似てはおらず、あくまでも演奏と合わせた時にそういう雰囲気が出る・・・という感じで、サンズアンプはサンズアンプの音です。

 しかし、この25年の間に、いったい何台のアンプ・何台のマルチエフェクターを購入したのかわからなくなるほど買いました。
 「これは素晴らしい」と思っても、良い音のするボリューム域に限定があったり、楽器同士の相性が悪かったりで、「どんな条件でも使える」というものにはほとんど出会うことがありませんでした。

 VOXの低価格マルチエフェクターStompLabはとても良かったのですが、どうしてもぼくの音づくりではフロントピックアップで良い音が出せないというところ、さらには決定的に残念だったのは「電源が切れないドラブルが発生する」「バンクの切り替えスイッチが1年程度で壊れる」という不具合がありました。(2台購入して2台とも同じ結果でした。)
 そういったモデルを使ってはその都度ガッカリして、結局戻ってくるのがぼくの場合はサンズアンプです。

 なぜぼくは他のオーバードライブエフェクター・アンプシミュレーター・プリアンプ・実際のギターアンプのプリ部分ではダメでサンズアンプに落ち着いてしまうのか・・・なのですが、自分なりに考えてみました。

 マルチエフェクター等に関して言えば、「ぼく自身がデジタルの歪みに向いていない・・・」という問題がありそうです。アナログの方がいろいろな意味でアバウトなために許容範囲も広い気がします。

 あとは「歪みの質の好み」の問題があると思います。ぼくの好みとしては「オーバードライブタイプの自然なアンプライクな歪みでありながら、ディストーションなみにコンプレッション感のある音」が最大歪み時の好みであり、そこからギター側のボリューム操作で歪み量をコントロールしてクリーントーンまでを創る弾き方なので、ピッキングの強弱でもトーンや歪み量が細かく変化するものが好みです。

 さらに、トーンレンジの特性とでも言いましょうか。。。。ぼくは大概アンプのトーンコントロールにおいて、Bassはかなり絞り気味にし、Midが高めでTrebleはフラット気味にセットすることが多いのです。
 要は「中高域が強く、全体的に中域に音が集まった『ラジカセから出力したような音』」を好んで出しているようです。
 さらには先日友人にも「バンドの演奏全体にリミッターがかかったような音」と言われましたが、先程の「オーバードライブ的歪みのまま、ディストーションくらい強いコンプレッション感のある音」という部分で、これって、「少年時代に何でどうロックを聴いていたか?」というところに答えがあるようです。
 大型アンプを生まれてはじめて弾いた時、煩かったので硬めの音づくりにしてスピーカーを壁に向けて塞いで弾いたのですが、普通に前向きにスピーカーをセットするよりも良い音だと思いました(笑)。
 また、団地に住んでいた頃、アンプをフルアップで鳴らしたいと思って布団にくるんで出力した時も「あれっ、そのまま鳴らすより良い音だ」と感じたことがありました(笑)。

 要するにぼくが「ロックの音」と認識している音は高級オーディオや素晴らしいPAから鳴っている音ではなく、初期のラジカセで米軍用AMラジオ局FENの放送を聴いていた中学生時代(1970年代はじめ)の音だ・・・というのが答えのようです。

 サンズアンプがそういう音しか出ない・・・という訳ではありませんが、「そういう音の中で『良い音と自分が感じることが出来る音を出力できるもの』がサンズアンプしかなかった。」というのが今までの人生の中での出来事なのかもしれません。

 いえ、条件によって・・・という制約があれば、「このギターの時だけは〇〇が良い」とかはありましたが、いかなる音楽・いかなるアンプでも・PA直でも・マルチトラッカー直でも・どのエレキギターでも・・・となると、残念ながらサンズアンプしか満足できるものがまだありません。

 これはサンズアンプを作るTECH21の製品でも同じで、初代のこのサンズアンプ(クラシック)は素晴らしく好みなのですが、その後に発売されたキャラクターシリーズやマルチエフェクターは好きになれず、あくまでも25年前のサンズアンプ(クラシック)だけが好きなのです。
 どうも高域と低域はぼくには必要なく、中高域と中低域のバランスのみがぼくのトーンコントロールのようです。

 何しろ、ぼくのサンズアンプの基本設定は、中域成分の多いメサブギー風の設定で疑似プリアンプ音色コントロールも疑似パワーアンプ音色コントロールも75%程度とかなり歪ませ、トーンはやや絞りめにもかかわらず、ミッドローとミッドハイをブーストという中域ばっかりなセッティングです。
 PA直などラインで使用する際はマイキングシュミレーションを「遠くからコンデンサーマイクで距離感のあるボケも含めた音」にし、ギターアンプに接続する場合は「マイキングのシュミレーションは切り、オールドアンプ風に枯れた中域重視の音になるスイッチをオンにする」という具合です。

 「遠くからコンデンサーマイクで距離感のあるボケも含めた音」のマイキングのシュミレーションは、圧倒的にヌケが悪い音になり、普通は絶対好まない設定かもしれませんが、ぼくは「小さな音でもその鳴り方からあたかもドでかい音に騙せ、ラインで目の前で鳴っているようなあり得ない距離感でなく自然さを出してくれる」そんなこのマイキングシュミレーションが気に入っています。
 これはぼくにとって「アンプのスピーカーを後ろ向き・・・や、アンプを布団にくるんで・・・」と近い効果なんです。

 しかし、同じTECH21社の新製品を試してみても、どうもぼくは時代遅れのようで、そういった音色は出にくく、もっとソリッドでタイトな歪みや超ダーティーな歪みが多いように感じます。
 もっと自分らしい音づくりが得意なボリュームペダル付きのマルチエフェクターやエフェクター内蔵アンプが発売されるだろう・・・と考えていましたが、ぼくのような音色の好みは現代では好まれない音のようなので無理なのかな・・・と感じはじめています。

 そうなると、25年を過ぎてもサンズアンプに頼るしかないのかな~。
 今回、暫くはギターアンプを使わずにミキサーにギターやベースも直挿しすることにしたため、ライブでもサンズアンプでプレイすることになり、「サンズアンプと自分」について考えていました。

 サンズアンプとボリュームペダルとディレイとリバーブで、小さなマルチエフェクターが作れないかなぁ(笑)。

http://twitcasting.tv/masakazuakutsu/movie/4876747


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