2024年10月にJ`s guitar gymに注文して2025年6月1日に出来てきたぼくのオリジナル名無しのキターですが、購入時の印象と大差なく3ケ月経ちました。
3ケ月前の購入直後はムービーでの紹介が主なブログでの紹介でした。
↓
https://www.ltm.jp/blog/bmwd/archive/2025/6/page1/
今回は、3ケ月間、激しい雨の日の使用などの厳しい環境下での状況を含め、いろいろ感じたことを含めて、前回ブログで書けなかった「なぜこのギターを必要としたのか」等を文面で記し、わずかながらでも参考にしていただければと思いました。

まず、60歳の退職金で特注でアッシュボディーとマッチングヘッドに変更し、かつ、配線をテレキャスター同様に変更した"Vanzandt Bronson"を購入したところにはじまります。写真左のギターです。
もともとの発想は、ショートスケールでテンションの楽な、通常のテレキャスターより軽い重量のテレキャスターのようなギターがほしい・・・という考えでした。
加齢(心臓・肩こり・腰痛・座骨神経痛等)により、ギターの軽量化と弦のテンションを緩めにしたいところは絶対の課題でした。
この"Vanzandt Bronson"の音色、立ち上がり、基本的な弾き心地等、とても気に入り、5年間、ずっとメインギターになっていました。
しかし、その全てが自分にとって完璧というわけではなく、このギターからの発想をもとに、若干の挑戦的な考えを含みながら、「生涯最後のギターを自身のモデルとして作りたい」と思ったのでした。65歳退職時に18万円の慰労金が出たので、それを資金として作るので、普通ならばその金額でフルオリジナルなギター制作は不可能でしょう。
しかし、通常の塗装ではなくてオイルステイン~オイル仕上げで、いわゆる塗装のないギターであれば安く制作できることが判り、その中でも最安値だったJ`s Guitar gymさんにお願いしました。
オイル仕上げのギターは以前からも気になっており、たとえば、雨の日にグズグズの音になって翌日になっても音が湿気ったまま・・・とか、塗装のあるネックと塗装の無い指板の湿気伸びがあわないため、音詰まりが発生してなかなか治らない・・・なんていう問題ですが、オイル仕上げはどの面にも塗装が無く、たぶん、湿気の影響はすぐに受けるけれど、逆にエアコンで即座に乾いてコンディションを戻すのには最適ではないのだろうかと感じていたからです。
これについては、豪雨の日のライブ、エアコンで日陰干しでわずか45分で元通りのコンディションを実現したので、「環境に変化を受けやすい」は逆に「戻りやすい」という効能が得られました。
気に入っているVanzand Bronsonからのぼくなりの改善点ひとつめは、ローポジションでのネックの握りがあまりに薄かったところを、少し厚くしました。出来上がったところ、フレットの角度も緩い傾斜になっていたこともあり、1960年代のGibson SGと同じような握りになり、安心感が増しました。

左がVanzandt Bronson、右がJ`s Guitar gym特注です。
次に指板です。上がJ`s Guitar gym特注、下がVanzandt Bronsonです。

環境の変化に強くするために指板はメイプルでかつ強度強化のため貼りメイプル指板にしましたが、近年はパーフェローや硬めなローズウッドを使用したギターを主流に使っていたため、違和感を心配していました。
しかし、ここでもオイル仕上げは効果的で、触り心地はサラッとしておりローズウッド指板からの持ち替えでも違和感なく、音も塗装がないために塗装のあるギターのようなキンキン感はないものの木材らしい響きとジワッと手に来る強い振動があり、なかなかこれはカルチャーショックな大成功でした。
次にボディーとピックガード(無し)、ネックジョイント、ピックアップについてです。

ボディーはスワンプアッシュ材を確保していただけたので、過去最高に軽い2.7kgという軽量のギターになりました。
予てより気になっていた事がありました。Fender系ギターの合理性志向でピックガードにピックアップなどすべて配置されているけれど、もし、トップの板としてボディーを意識するならば、トップ側に穴をたくさん掘るのではなく、Gibson的にトップ面になるべく穴を掘らず、コントロール類はバックに穴をすればいいんじゃないか・・・。
ピックアップは一番気に入っている出力は低めのテレキャスターのものを使うけれど、吊り下げマウントではなくボディーへの直打ちでマウントし、その強い鳴りテレキャスターよりも短い弦長での迫力不足を防ぎたい。
ピックアップがGibsonのようにフロント・リアが平行になっているストラトやテレキャスやムスタングやデュオソニックはないので、この機会に試験式にやってみる。
ネックジョイントは、ピックガードが無い分、少しだけ深くジョイントする。
軽量化については、当初チョーキングをしてもギターが浮いてしまう・・・と感じるほどの違和感がありましたが、2ケ月も使うと慣れて来ました。立って弾くことが楽になりました。
ピックアップに関してはすべて思いどおりになりました。
しかし、ネックジョイントとブリッジ駒の調整はやや失敗でした。ネックジョイントを下げたため、ブリッジ駒の調整がネジを外してもいいくらいまで下がり、ストリングポストの中でギコギコと弦が暴れてしまうようになってしまいました。ギコギコが酷い2弦の駒にはアルミシールを貼ってギコギコ止めをしていますが、ネックジョイントを下げた分、ブリッヂプレートも若干の穴を掘って埋めてもらうんだった・・・。
オイル仕上げが理由なのか、ボディーの考え方が良かったのかはわかりませんが、生音も、ピックアップからの音も、所持するシングルコイルのギターの中ではダントツに音の大きいギターになりました。
フロントは普通にテレキャスターに近い音、リアはデュオソニックにテレキャスターっぽい真鍮感が混じった音、ミックストーンではなぜか倍音のイメージがGibson SG(ぼくの所持するメイプルネックのSG)に似ています。
ただ、鳴り方がエレキギターらしい響きではなく、マーチン系パーラーギターのアコギのような思いっきり暴れる音なので、購入して1ケ月くらいは鳴らし過ぎていましたが、その後は慣れました。
次はコントロール系ですが・・・

Vanzandt Bronson(デュオソニック)で一番不満だったのがピックアップセレクターの位置です。ボリュームコントロール(歪み具合の調整)とピックアップの選択を頻繁に行うぼくにとって、ボリュームとセレクターがこれだけ離れているのは操作しにくかったのです。
以前、SG Juniorにフロントピックアッフ(テレキャスター用)を追加した際に付けたセレクターの位置が操作しやすかったので、その位置に。
また、ぼくはトーンをいじらないのでAカーブのマスターボリュームを1発だけにしましたが、これは余計なものがなくて非常に気に入っています。
そのようなわけで、ぼくの終活ギターの中心としてこのギターが君臨し続けてくれるでしょう。
ギター内容の理想は個人の特性によって違いましょう。けれど、今回思ったのは、「この面白いオイル仕上げというギター、誰しも一度は手にして楽しんでみても良いのでは?」という気持ちです。
そう言いたくなるくらい普通のエレキとは違います。よく「木材の鳴りが~」とか言われる方を耳にしますが、確実に本当の木材の鳴りが強烈なのはオイル仕上げだろうとぼくのギターは語ります。けれどぼくの木材チョイスでは、バランスを整えて上手に調整して出力しないと「フォークギターにファズかけたような音」になっちゃいます。また、アッシュとメイプルの組み合わせは「突き抜ける高域」と思いがちですが、オイル仕上げだとそのまま木材の鳴りになるため強く弾きすぎるとベチャーッと音がつぶれ、弱いとアタック音だけになっちゃう極端な変化がありますが、丁度良い強さだと「永遠に伸びるのでは?」と思うような豊かなサスティーンと倍音があります。
そういう「じゃじゃ馬コントロール」的な楽しさをどんなギターより楽しめる、弾いていてこれ以上楽しいものはないギターに感じています。
Vanzandt Bronsonとこのギターは、たぶん、ぼくが墓場まで持っていくギターになると思います。
しかし、このギター、J`s guitar gymのブランド名「Tetugen(鉄弦)」だけで、ギター名が無いんですよね。名前が欲しいなぁ。
形状はムスタングと同じだからデュオソニック2に準拠はしているけれど、それ以外、内容はデュオソニックとテレキャスターとSGを合わせたようなオリジナルな仕様なので・・・、個人的には「原始的なエレキ」「エレキこうあるべし」とか思ってるけど。。。希少なスワンプアッシュボディーってこともあるし、「スワンピー」にするか・・・いやいやなんかポパイのウインピーみたいで嫌だなぁ~。何かないかなぁ。
COMMENT