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【「左利きの矯正」を当然とする社会圧の代償 それは「自分らしく生きる」ことの否定だ】という記事について

2017/12/20 00:00

 MSNから東洋経済オンラインの記事で【「左利きの矯正」を当然とする社会圧の代償 それは「自分らしく生きる」ことの否定だ】というものがアップされていました。

 要は大雑把に言えば、性別を選べたり価値観等個性が尊重される時代でもあるので左利きは個性だから容認すべきだ・・・というような内容なのですが、確かに小学校で左手を椅子の後ろに回させられて箸と鉛筆を右手に矯正された自分としては一定の理解は出来ます。

 が、しかし、左利きの自分としてはちょっとそれだけでは違う、全然公平ではなく差別されていると感じるのです。

 左利きは10人に1人と書かれていますが、右利きだと勘違いして生きている左利きを含めるともっとパーセンテージは多いと思います。
右を使い辛くて左を使ってしまう、または親が左利きで左を使いやすい環境にあった等の理由があって、生活には不便な左手を利き手として使っているのが10人に1人だと思います。

 自動販売機も改札もハサミも(多くのギターもエフェクターの接続も)左利き用には作られていないので、本当に「差別なく左利きが暮らせる環境」がないままに「左手を使っても良い自由」だけを唱えられても、それは単に「左に不利な環境や生きにくい現状を変えるつもりはまったく無いが、そんなに不便でも左手を使いたければ使えばいい」と言っている点に気がつかれないで書き進めている点が気になるところでした。
 これが左利きワールドの中に右利きが置かれたことを想定してみたら恐ろしいと感じることは容易に想像出来るであろうに・・・。

 左手・左足・左目では対応しにくい社会の中で右利きに矯正することなく頑固に・しかもやりにくい中で工夫して生きているからこそ、レオナルドダヴィンチやベートーベン・王貞治等左利きに天才が多い理由がありそうです。
 そうそう、ビートルズも1/10どころか左利き率50%のバンドですね。
 左脳右脳の問題よりも「頑固=こだわり」「工夫=創造」が天才を作っているような気がします。

 10人に1人という人数をコストで「9/10対象・1/10切り捨て」と考えるのが当然のように「少数派」と言っていますが、ワクチンはあるけど10人に1人がインフルエンザにかかっていますか?
 10人に1人しかかからない病気の罹患者は死んで当然で治療もしてもらえずに見殺しにされるのですか?
 10人中1人にしか売れない商品は製造打ち切りですか?
 10人中1人しか買わないCDは発売しませんか?
 10台中1台しか走っていないクルマは生産中止ですか?
 それだけ売れたらベストセラーなんじゃないですか・・・。

 世界の人口の1/10が住んでいる国があったとすれば、それは世界から切り捨てられる小国なんでしょうか・・・。

 逆に御茶ノ水谷口楽器のように1/10をターゲットとした左利きのみに絞って販売している楽器店もありますが、ちゃんと需要がありますよ。
 1/10以上存在するのに販売ターゲットとしない他店があるからこそ、日本全国の左利き用ギターの販売を担っているから、多少単価が高くたって売れているんですよね。

 1/10以上もの人口がいるのに、それを販売ターゲットとしないなんて不思議だなと思います。
 スタンダードで左利き用の注文がいつでもできるもの以外なら、商品がないですから、あれば左利きは飛びついて買うので即売れてしまうのですが、不思議と商売物にしない・・・。10個中1個は即売却の可能性が高いのに(右利き用のように売れ残らないのに)売れなくていいという不思議な考え方です。

 「左手を使ってもかまわない」ももちろん賛同しますが、それ以上に「左利きをお客様として認識しない」という現在の様々な製造業・販売業の方々の「左利き差別」をやめていただかないと、何も差別の解決にはならないわけです。

 それは女性がトイレを捜している時、その地域に男性の小便用便器しか存在しない状態に近い状態なのです。
 あれだけ芸術家・音楽家・スポーツ選手等のトップに天才として君臨する方が多いにもかかわらず、その道具に左利き用がなくて店舗に置いていない・・・ということは、天才育成を阻害している悪い製造者・販売者とも言えましょう。
 それは「1/10の売上予測しか出来ないためのコスト削減」ではなく「差別販売」なのだと認識していただきたいのです。

 医療費等のように利き手が関係ないものの料金には左利き用コスト追加分が料金に加算されませんが、エレキギターを例にとると最近のGibsonギターで自分が購入したもので考えてみたところ、左利き用を生産する予定のモデルについてはモデル生産開始の最初の時だけに一気に左利き用を製造し、その後は作らないというやり方のようで、小売りでの販売価格は右利き用の15%~20%増しの料金で販売されていました。
 15%~20%という数字は、楽器店が定価からの割引価格として提示することの多い割引率ですから、左利きは「割引なし」で小売りしているということになり、顧客サービスの上ではこれまた差別されちゃってるわけですが、これは製造側のコストに対するふっかけかと思いますから左利きとしては「作っていただけるだけで有難く、価格に対する不利益は覚悟します」ということになります。
 シリーズ製造の最初のちょっとだけ・コストに対してふっかけ過ぎとは言っても、左利き用を製造・販売してくれるというだけで有難いメーカーです。

 右利きには考えられないほど左利きはへりくだって、かつ損をして生きて行かなければならない差別が根本にあるということは知っていていただきたいところだなぁと思いました。

<直近ライブ情報>

■2017年12月24日(日) 18:30~
 マホガニー (渋谷駅井の頭線出口そば) チャージ無料+1オーダー
 ※出演 コバーン 18:30~19:15くらい
     Beware of Moving Wax doll 19:30~20:15くらい

■2018年1月21日(日) 19:00~
 Sammy's Hawaiian Cafe (東横線「白楽」駅) チャージ無料+1オーダー
 ※出演 高雄文 19:00~19:50
Beware of Moving Wax doll 20:00~20:50

■2018年2月4日(日) 時間・出演者未定
 こびとさん(横浜市営地下鉄「吉野町」駅そば)

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