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「特注したり大幅に改造したりしたギターたち」

2022/03/23 00:00

 写真はぼくが生涯で特注または大々的なカスタマイズをお願いしたギターたちで、いわゆる「世界に1本しかない自分の必要に応じて作ったギターたち」です。
 今日はその話を書きたいと思っています。

 一番手前にあるナチュラルのテレキャスターは1982年頃に渋谷のPACOで作ってもらったテレキャスターで、たしか16万円くらいで作ってもらったものでした。
 当時は左利き用の1960年代タイプのテレキャスターでソコソコ品質の高いものは市販されておらず、左利き用テレキャスターについては廉価版モデルばかりが店頭に並んでいたので、黒い1960年代タイプのテレキャスターでシャーラーのペグ・ダンカンのビンテージピックアップ・ブラスの6点ブリッジプレートで制作をPACOにお願いしましたが、出来上がって来たらナチュラルでした・・・。
 理由は「木目が綺麗で塗れなかった」という事でした(笑)。
 注文時にお願いしたとおりにガリッとしたアタック音とバリバリ鳴る「当時のフェンダーよりもフェンダーらしい音」で、実際の音量よりもはるかに音が大きく聴こえる素晴らしいギターですが、かなりギターが重いので今後の使用はほぼないかな・・・。
 ピックアップはたまたま同じダンカンのビンテージですが、断線してしまったため、ESPのテレキャスターについていたものに換えています。

 手前から2本目の小さなギターは、フジゲンに昔居られた伊藤さんがたちあげられた"Guitarlab"というブランドのミニギター"elf"をカスタマイズ制作していただいたものです。
 もともとこの"elf"は、カーズのギタリスト"エリオットイーストン"が伊藤さんに「ホテルで弾ける手荷物サイズのエレアコ」として注文したギターを、フロント1発仕様のエレキにしたモデルとして、ギター作品展に出展されていたものを雑誌で見て、そのギターの型を使ってぼく用にカスタマイズをお願いして作ったギターです。
 なぜこのギターを作りたかったのかというと、1993~1999年頃は、極端に小さな音でフリーマーケットの小スペースで小さくなって座ってミニギターを弾きながら自主制作CDを販売していまして、小音量でも高音質でありながら肩幅から大きく広がらずにタイトなスペースで弾くことが出来るミニギターが欲しかったという必要が自分にあった点と、大元が左利きのエリオットイーストンのためのギターであれば、左利きの型があるギターだと思ったからでした。
 カスタマイズは仏具の金色のカラー(マッチングヘッド)、硬めの音色、2ピックアップ、1ボリュームのみという仕様でした。
 形状から立って弾くには無理があって腱鞘炎になりやすいギターですが、胡坐をかいてギターを斜め前に抱えて狭い場での演奏をするには、小音量でも迫力満点の音だし、かなり品位のある音なので、実は録音にも一番使ったギターでした。
 価格はオリジナルにもかかわらず、当時伊藤さんがよっちゃんからの注文で作っていたストラトの材の残りを使う等していただけ、11万円ちょいでした。
 後にリアピックアップがダンカンでは太い音過ぎたので、リアピックアップは1973年のレスポールデラックスに付いていたミニハムを移植しまして、やや中高域が出る自分らしい音になりました。
 胡坐座りをしてミニギターを使う環境が今はないので出番はありませんが、このギターはたぶん、人生の最後まで持ち続けるだろうと思います。
 過酷な環境下での使用で塗装はクラックだらけだし、ストラップピンの位置をいろいろ変えたので穴も空いていますが、苦楽をともにしたこのギターには、それも勲章です。

 後ろに立っている3台のギターのうち、一番右の黒いギターは、2012年製造の"Gibson SG Junior"を大改造したもので、今のバンドである美妃が歌う"Blanche"のサウンドに一番向いているギターです。
 そして、ぼくにとって「Gibsonで一番自分がコントロールしやすいギター」です。
 指板が焼きメイプルなので、少し普通のSG Juniorよりツーンとしたタッチの早い音がします。
 テールピースとブリッジが一体のシンプルな構造なので、通常のGibsonギターのような複雑な音ではなく、シンプルにドーンと鳴るわかりやすい音色です。
 Groverのペグに変更、フロントピックアップにFender Telecaster用のダンカン・ビンテージピックアップを追加し、木製の絵画ピックガードに変更しました。
 Gibson系ギターで苦手だったフロントピックアップのブーブー音が解消され、ぼくが唯一コントロールしやすいGibsonギターとなりました。
 また、所持するソリッドギターの中で一番軽いというところも、年寄りが将来において使用できる可能性を高くしてくれています。
 美妃が歌う限りは使い続けるギターだし、唯一、Gibsonギターの中でコントロールしやすいギターなので、たぶん、生涯持ち続けると思います。

 後ろの左側に立っているギターは、"VanzandtのBronson"という、Duo-Sonicのコピーモデルですが、カラーも配線も、ボディー材もカタログモデルとは違っている特注モデルで、2ピースアッシュのボディーですから、ミディアムスケールのテレキャスターに近いものとなっています。
 60歳定年退職金の一部で、人生最後のメインギターとして特注しました。
 ブランドでは一番安いモデルのカスタマイズですが、高級ブランドらしく、造りも品質も素晴らしいギターです。
 価格は20万円ちょうどでした。
 さらに購入時には2ボリュームでフロント・リア各個別のボリュームとしていましたが、後に、フロント単独ボリュームとマスターボリュームに変更しました。ジャズベースみたいな配線ですね。これでセンターポジション中心に使えるようになりました。
 そして、リアピックアップをオープンにして、よりテレキャスターに近くパワフルな感じにしました。
 かなり気に入っているギターですし、人生最後のソリッドギターとして購入したギターですので、棺桶に入るまで所持していたいギターです。

 さて、最後は後ろ真ん中のシンライン。
 これはなんと激安ギターのレジェンドのボディーだけ使って、他は新たに264ギターズさんに組んでいただいて出来上がった半オリジナルギターです。
 「箱ギターが弾きたい」と思って335のコピーモデルをライブで使った際、あまりの重さで腰と肩をおかしくしてしまい、「2kgちょっとくらいの軽いセミアコはないか・・・」と、正真正銘の老人にあと2年ちょいでなっていく衰えた自分のために考えた「人生最後のギター」として作ったギターです。
 なぜ4万円の中国製レジェンドのシンラインのボディーだけを使うことにしたのか・・・ですが、通常のシンラインよりもボディーが薄くて軽かったことと、マホガニーボディーのように見えますが、オクメというヨーロッパでは建築材としてよく使われるアフリカの木材が使われていてなかなか木目がいいなと思ったからです。
 もともと短いスケールのテレキャスターが欲しいという気持ちから、それに近い仕様で"Vanzandt Bronson"を特注したのですが、さらに軽くてセミアコ構造のシンラインでもその理想を追従する事とし、フェンダーとギブソンのちょうど中間くらいの長さのスケール(Danelectroのスケール)のネックを264ギターズさんに作成してもらって、ピックアップも手巻きで作っていただきました。
 ちょっとだけ短めのスケールのラッカー1回塗り極上メイプルネックにパーフェロー指板、ミディアムジャンボくらいのフレット、ブラスのナットという仕様のネック。
 このギターならば、人生最後の時まで持てる軽さかつ、生鳴りするセミアコなので弾き語りの真似事から、普通の地味めなセミアコエレキとしてまで使えると思います。
 本当に「立てなくなって座って演奏するようになっても使えるギター」という最後の最期の自分を支えてくれるであろう激軽セミアコです。
 誰かもらってくれなければ、これは棺桶の中に一緒に入るギターになるかもしれません。

 心残りなのは、クルマもギターも、クルマは「最後はその時点で一番小さくて安いブリティシュレーシンググリーンの英国車(Rover100)」と昔は考えていましたが、Rover社は潰れてしまい、実際にはドイツ車フォルクスワーゲンのUP!になったこと。ギターは「ブリティシュレーシンググリーンメタリックのカラーのギター」を最期と考えていましたが、ソリッドギターはバーガンディーミスト、セミアコはナチュラルでした。。。
 もし、ブリティシュレーシンググリーンメタリックだったら、どんなギターを作っていたのだろう・・・。案外、SG Juniorかな・・・。
 人生、思い通りにはならないものです・・・。

 そういえば自分の人生設計では、30歳代は人気バンドのギタリスト、40歳代では富豪になってその後は遊んで暮らす・・・はずでしたが、60歳定年退職までヒラのサラリーマンをやり、65歳までの高卒初任給程度の報酬で退職後再雇用で働いている寂しくも厳しい経済状態、あと2年半後に迫った老後の生活を考えるとあまりの貧困から暗い気持ちになるとは・・・思ってもいない環境ですね・・・。
 老後の音楽生活のために宝くじがドーンと当たらないかなぁ。。。

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