チャーリーワッツ・・・、ローリングストーンズのメンバーが亡くなる…という事は、今の若い世代の方々にはカルチャーショックほどの出来事ではないのかもしれません。
しかし、黒人のみのBlues・R&Bミュージックからアメリカ黒人以外の人々にもロックンロールミュージックを浸透させ、またその後の多彩なニューロックに繋いだのは間違いなくビートルズとローリングストーンズだと思います。
ビートルズは10年に満たない活動期間でしたが、ローリングストーンズは今も第一線で活躍する「人生そのものがロックンロールバンド」な、ぼく的に言えば「カッコいいロックンロールのリフ = ローリングストーンズ」と人生で感じ続けて来ました。
逆に言えば、「ローリングストーンズの醸し出すロックンロールリフの影響無しにカッコいいロック音楽はない…」と感じ続けて来たと言えるでしょう。
たかがリフを「= 音楽」のように言うな…音楽はメロディが…云々と思われる方もおられるでしょう…。
でもね、ロックは当初ロックンロールを略した言葉で、本来は、岩がゴロゴロ転がるようなリフレインで曲を構成して、そのしつこい繰り返しのリフレインで身体や心を上機させて快感を得る音楽でしたから、ロックにおいて「たかがリフ」はありえず、快感の中枢に位置するリフこそが、「ロックンロール魂の要であり核」であると言えるはずです。
メロディが…、演奏がお上手…、曲として好き…、歌詞が……、いや、いいんですよ、それは素晴らしい魅力の一片でしょう。
けれど、ロックンロールミュージックと謳う限りは、それ以上に「カッコイイリフを持つバンドの音楽」でなければロックではなく、単純に流行歌楽隊さんなのではないか…とぼくは感じています。
その中で一番カッコイイリフを提供し続け、不変のメンバーでのみが作れるビートを出すことがロックンロールバンドであることを教えてくれたのがローリングストーンズだったと思います。
ぼくにとっては「カッコイイリフの宝庫」「ロックンロールリフの教科書」です。
亡くなったチャーリーワッツのドラミングは、けしてぼくの好みのタイプではありませんでした。
ぼくはタイトな16ビートを得意とするドラマーが、たとえば8分音符でプレイする時などは、8分音符をプレイする際に「16分音符+16分休符」的な音の、音の前側でプレイして後ろをタイトに空白とするような、タイトなドラミングが好きです。
けれど、チャーリーワッツは8ビートを4ビートのようにゆったりと揺れのある大きなビートで叩く、いわゆる昔のモダンジャズドラマーがロックをやっているような、なんというか、ぼくに言わせれば「呑気にのほほんとしたドラミング」に感じる、ぼくの好むタイトなグルーヴ感のあるスリリングなドラミングというよりも、8ビートでもスウィングしたドラミングに感じます。
本来はぼくはあまり好きなタイプではないのですが、その、のほほんとした揺れのあるビートの上で鳴っているキースリチャードのバッキングが、なんというか「止まりながらの疾走感」みたいな、本当にそのドラムとの絶妙なアンバランスさが「石ころゴロゴロ」サウンドを作り出している、まさにローリングストーンなサウンドの魅力だと思います。
アレンジや演奏の上で、バンドをはじめたばっかりの頃は「バンドのメンバーの演奏を、演奏中の細かい休符までビシッと全員同じタイミングでキッチリ合わせる・・・」という事を大事に練習して「良い演奏」を目指したわけですが(今もそれはそれなりに大切なことだと感じていますが・・・)、もう少し高校生くらいになって来ると、ローリングストーンズは各人がなぜあんなにバラバラのノリで演奏しているのにまとまると良い感じに聞こえるのか・・・が不思議に感じて来ました。
そういう事を意識して勉強させてくれるきっかけになったのは、ぼくの場合、間違いなくローリングストーンズの演奏でした。
それぞれはシンプルながら、それぞれに微妙にかみ合う部分が用意され、それぞれが自分らしいそれぞれ別のビートを延々と演奏し続けている・・・。あまり同じグルーブを複数人で刻まないが、やる時は全員が同じリフでユニゾンになっている事が多くて、アレンジ的には両極端。
どうすればそのような演奏アレンジが作れるのか・・・、それは人それぞれのアプローチがあるでしょうが、そういう事自体をローリングストーンな音で多くのミュージシャンたちに見える化してくれたのがローリングストーンズだとぼくは思っています。
そしてその要は、キースリチャードとチャーリーワッツかな・・・と。
個人的にはミックテイラーが好きですが(笑)
チャーリーワッツの死は、転がる石サウンドの終焉を意味しているかもしれませんが、たぶん、代役としてずっとスティーブジョーダンが叩くのかな・・・。
これからのローリングストーンズは、確実にキースリチャードのソロバンドに近いものとなって来るのかな・・・。
それを「こんなのストーンズじゃない・・・」とは言いたくないけれど、スティーヴジョーダンは好きなドラマーだし・・・、どことなくルーズでスウィングしているストーンズサウンドではなくなるのでしょうね・・・。
もうひとつ、ローリングストーンズはロックファッションの宝庫だと思うけれど、派手なミックやキースとはまったく違うチャーリーの渋いオトナのファッションも、楽器のプレイ同様にそれぞれの個性にあっていたと感じます。
同じそろいのカッコや似たカッコをするのが普通のロックバンドやソウルグループだったかなと思いますが、ストーンズは個人の個性をアピールするカッコをスタイルとしていたというカッコ良さがありましたね。
ロックの黎明期を生きたバンドのメンバーが次々に亡くなっていく今、寂しいし、指針を失う空虚感を感じています。
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