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「ぼくはエフェクター主体のギタリストではないつもりだけど・・・」

2023/04/10 00:00

 さて、よくぼくに「アンプ直でプレイした方が良い」と言われて来る方がおられるのですが、ぼくのギターアンプのプリアンプはサンズアンプなので、ディレイをかけていない時はボリュームペダルをかましているだけで、ほぼアンプ直と同じ条件で使っているとぼくは考えています。
 ただ、ぼくのしている事は、ギターアンプのプリアンプとパワーアンプの中間にボリュームペダルを入れて、あたかもPAがない環境でもPAオペレーターがギターソロとバッキングのボリュームを調整している作業にあたる仕事を自分の足で行うという事をやっているというバランス調整の努力をしているだけです。

 歪み音色のままで歌のバッキングをつけたい場合、その曲にギターソロがあれば、ボリュームペダル等でコントロールしなければ、ボーカルが聞こえなくなるような爆音で演奏し続けるか、または、ギターソロは聞こえなくても諦めるか…というような不具合を生じます。
 コード弾きで6本の音を出している時よりも、1本の単音弾きのギターソロのボリュームが大きくなるようなマジックは、ボリュームのコントロールなくしてあり得ないのです。

 ジャズやブルースオンリーのバンドで、基本的にギターの音色を歪ませないならば、ギター側のボリュームコントロールが歪みの調整ではなくボリューム調整に使えますので、歪み音色を出さない(ロック的やフュージョン的な音は出さない)という条件のみならば、ギターからギターアンプ直のみで演奏可能でしょう。
 アンプで歪み音色をセットした場合は、ギター側のボリュームコントロールはボリュームコントロールとはならず、歪みの量のコントロールとして機能しますので、出力ボリュームのコントロールは、他の何かでしない限りは、ギターアンプに張り付いて、演奏を中断してギターアンプのボリュームをコントロールするしかなく、非常に不合理な事になり、コントロールの間てま演奏が中断するのを防ぐため、バッキングギタリストを1人増員しないと緻密なアレンジはこなせません。

 ブルースのみ演奏のバンドならば、気に入ったアンプがそこにあるならばそれでいいかもしれません…が、ぼくのプレイしているバンドはブルースオンリーのバンドではないのであまりそれは向いていません。
 もしくは、絶えずギターソロを引き続けるインストバンドか、ボーカルよりもギターが主なボーカルは吠えてなんとかするハードロックバンド、またはギターはただの歌の伴奏でエレキでもアコギと同じプレイをする弾き語り調をバンド風にアレンジしたものでも可能かとは思います。
 しかし、オールラウンドなプレイで、うるさくなく、ダイナミックレンジも広い演奏をするには、歪み音色であっても音量をコントロールしなければならないのです。ぼくはある程度それを信条としてギターを弾いて来ました。
 その、単なる音量調整に、昔懐かしいエコーマシンのディレイを場面によって追加しているだけがぼくの唯一のエフェクトです。

 だから、「アンプ直で…」と言われている方の図式と比べてみると…、

(アンプ直)
ギター → プリアンプ → パワーアンプ → スピーカー

(ぼく)
ギター → プリアンプ → ボリュームペダル(たまにディレイ) → パワーアンプ → スピーカー

 たったこれだけの違いなんですよ。この変更は、爆音で聴きにくくなるのを防ぐだけでなく、サンズアンプベースドライバーでベースを出力したとすれば、ギターもベースもラジカセがアンプにも出来るし、ギターアンプ無しでPA直でプレイもできるので、驚異的に便利です。

 はっきり言って、エフェクターが得意なプレイヤーの方向性ではないとてもアナログな方向性の一つです。

 これをしないでアンプ直で正しいバランスで歌も聴きやすく、かつ、ダイナミックレンジも下げない演奏をするには、フットコントロールで歪みチャンネル2つを違う設定ボリュームでコントロールできる3ボリュームのメサブギーアンプなどを常に持ち込む…等が必要になりますが、真空管アンプはある程度のボリュームを出さないと良い音にならないし、小音量でのライブが多いぼくらには向いていない手段であることは歴然です。

 そこがサンズアンプならば、ぼくが使うメサブギーのマークシリーズを7~8割歪ませたような音から、マーシャルブレキシに12AX7真空管を1機追加改造したモデルの歪み音、フェンダーのベースアンプのベースマン100を模したアナログのプリアンプで、そこから自分らしい音作りをして、あくまでアンプとして使えるので、常に同質の自分らしい音でプレイできる便利さがあります。
 一時期、アンプの歪み音色が気に入っていたブラックスターアンプを使っていた際はサンズアンプを使わない時期がありましたが、また、バンドの個性がアメリカン一色でカントリーロック的な西海岸フォークロックイメージのバンドか、ロック的でないブルースバンドをやるとすれば、ブラックフェイス時期のフェンダーアンプの音色に特化したシミュレーターソニーボーイをプリアンプに使うかもしれませんが、1993年からずっと自分のメインアンプはサンズアンプクラシックです。
 これやボリュームペダルを「エフェクター」という解釈で、ぼくがエフェクター的なギター弾き…という見解は間違っています。
 これをエフェクターばかり…という感覚を持つのならば、スナッピをつけたスネアドラムはあきらかにエフェクトドラムなので、そう考えるドラマーはスナッピをはずしてプレイすべきかな(ぼくはそうは思わないけど)。
 サンズアンプはエフェクターではなくてただのアンプです。

 逆に、ぼくの特徴的なところは、普通にアンプに搭載されているリバーブの効かせ方が強い点でしょうね。
 ギラッとなる音が好きという事もありますが、1960年代当時はエコーマシンを知らずに、エレキギターの音を最初に意識したのが人形劇サンダーバードのシーンでのシャドウズの演奏だったので、そのハンクマービンの音色イメージから受けた自分の「エレキらしい音」だと思います。
 タイトにキツく聞こえるのを柔らかくし、なんとなくオブラートに包む自分らしいトリックで、変えるつもりはありません。
 よく、デイブギルモアに影響されて空間系の音が強いのか…とも言われますが、残念ながらそれよりもシャドウズのハンクマービンが答えです(笑)。

 それぞれ自分の好みに合わせた発想をするのは全然自由なんだけど、相手が何をしているのかを理解し、その必要な技術を表す全ての条件をクリアする事ができる意見でなければ、それは相手にとっては間違った意見になる事。基本的にはどっちが正しいという考え方こそが間違っていて、その人がやっている事に対して成果を出している事が正しいと自分は考えています。
 最初にコバーンさんが、うちのバンドの魅力としてブログに書いてくれた「ロックなのに煩くなくて、それなのにダイナミックレンジの広い演奏」、その理由がまさにぼくのボリュームペダルの位置だというのが答えなのです。

 ぼくのアンプや歪みのコントロールは、現代の多くの方々が実践しているポジティブなプラスのコントロールではなく、非常にネガティブなマイナスのコントロールです。
 多くのギタリストの方々は、作った基本音色いくつかにブースターをドライブ系エフェクターの前に置いて歪みの強さや抜けをコントロールし、ドライブ系エフェクターの後にもブースターをかましてボリュームアップを図るというようなセッティングが多いのではないかと思います。
 または、ドライブエフェクターを複数使って使い分けるか…。
 いづれにしても、積極的に音色をプラス方向に変えていく作業です。
 けれどぼくの場合は、サンズアンプというアンプとギター側のボリュームコントロール(歪み調整)だけで作った音をボリュームペダルで音色を変えずにボリュームを下げるだけ…という、非常にネガティブなマイナスコントロールなのです。
 あまりこのような使い方は、下げるコントロールのみという事で、結局、聞こえよりもはるかに大きな出力のギターアンプが必要だったりと不合理なため、同じような使い方をしている人は少ないと思いますが、サンズアンプというアンプが気に入っているが上の「もし、アンプ本体が無かったとしてもアンプ直」というプレイをしているとも言えるところ、その辺をご理解いただきたいと、「アンプ直の方が…」と言われる方にはご理解いただきたいと思っています。
 要は、あなたがエフェクターだと思っているものは「アンプ要らず」という製品名の「PAに直接挿せるギターアンプ」の間違いです。
 エフェクターと言える唯一ぼくが使っている効果はテープエコー風な響きのデジタルディレイのみです。

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